こんなところに福島正実の「マタンゴ」が!『SFショートストーリー傑作セレクション 怪獣篇 群猫/マタンゴ』

怪獣篇 群猫/マタンゴ (SFショートストーリー傑作セレクション 第二期)汐文社Amazon■『群猫』『仕事ください』『弱点』『マタンゴ』『黴』の5本立ての短編集。こんなアンソロジーが出ていたとは知らなかった。■『群猫』は筒井康隆の短編で、地下の暗黒世界で…

進化論があるなら、人類の退化論もあるはずだ!ウェルズ先生の心配性が炸裂する『モロー博士の島』

モロ-博士の島 (偕成社文庫 3214)作者:H.G. ウェルズ偕成社Amazon■H・G・ウェルズの小説なんて前世紀の遺物でしょと勝手に思ってましたが、最近ちょっと見直しています。『宇宙戦争』もいまだに新しい視点を提供しているし、『解放された世界』なんて、日本…

むしろドラマ版のほうが良いよ!小説『ミッドナイト・ジャーナル』

ミッドナイト・ジャーナル (講談社文庫)作者:本城雅人講談社Amazon■永らく積読状態だった小説。ドラマ版を観て買ったのだけど、とにかく読むのに時間がかかったな。正直なところ、ドラマ版の方がお話のアウトラインがスッキリ整理されていてわかりやすいし、…

”戦さは儲かるという物語”が国を動かすとき…『太鼓たたいて笛ふいて』

太鼓たたいて笛ふいて (新潮文庫)作者:ひさし, 井上新潮社Amazon■劇団こまつ座の舞台版はNHKの放送で観ていたけど、戯曲が新潮社から出ていて、積読状態だったものを、やっと読みました。そして、お話を思い出しました。そのあたりは以前の記事に描いてある…

まだまだ成仏できまへん!芸の道は修羅の道や!『仏果を得ず』

仏果を得ず (双葉文庫)作者:三浦しをん双葉社Amazon■文楽の技芸員、義太夫語りの健は、師匠にいわれて相方となった変人の三味線方の兎一郎とともに稽古に精進するが、好いた女ができてしまうし、その娘の小学生ミラちゃんにも好かれてしまってさあ大変。稽古…

未来は断絶の先にある!堀川弘通が映画化を願ったSF小説の古典『第四間氷期』

第四間氷期(新潮文庫)作者:安部公房新潮社Amazon■人工知能研究(予言機械)のサンプルモデルとして目をつけた平凡な男が何者かに殺された。このままでは自分たちに殺人の嫌疑がかかる。。。犯人を探すうち、脅迫電話がかかり、殺し屋の影がちらつく。そし…

やっと読んだ、白坂依志夫の奇書『不眠の森を駆け抜けて』

不眠の森を駆け抜けて (ラピュタBOOKシリーズ)作者:白坂 依志夫ふゅーじょんぷろだくとAmazon■白坂依志夫の書いてきたエッセイやインタビューを集めた本だけど、あまりの内容に購入後ずっと積読状態だったものを、11年ぶりに先日やっと読了しました。■白坂依…

コテコテのミステリーだけど嫌いじゃないよ『天使のナイフ』

天使のナイフ 新装版 (講談社文庫)作者:薬丸岳講談社Amazon■薬丸岳のデビュー作で、江戸川乱歩賞受賞作。もちろん悪くないけど、当然ながらミステリーなので無理やりなお話づくりが目に付くよなあ。最終的にコテコテのこれでもかの作為が積み重ねられる。そ…

さようなら、私の内灘。わたしの青春ー五木寛之の『内灘夫人』読みましたぜ

内灘夫人 (1973年) (五木寛之作品集〈7〉)作者:五木 寛之文藝春秋Amazon五木寛之小説全集〈第12巻〉内灘夫人 (1980年)Amazon■五木寛之の『内灘夫人』を古書で入手していたのですが、やっと読み終えました。結構ボリュームがあったのですが、基本的に新聞連載…

物象の軽視!精神主義への傾倒!指揮命令系統の混乱!あまりにも日本的な過ちで歩兵部隊は戦争に行く前に全滅した『八甲田山死の彷徨』

八甲田山死の彷徨(新潮文庫)作者:新田次郎新潮社Amazon■なんで今さら読んでいるのか?という感じですが、今読んでも示唆の多い記録文学ですね。■第三十一連隊は、雪の八甲田山で全滅した第五連隊には途中遭遇しなかったと(嘘を)言い切ってしまったため、…

米国も切羽詰まると人道(綺麗事)を棄てる。それが戦争の現実だ!『大日本帝国の興亡(新版)4 神風吹かず』

大日本帝国の興亡〔新版〕4――神風吹かず (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョン トーランド早川書房Amazon■レイテ湾海戦と連合艦隊の壊滅、硫黄島の玉砕戦、東京大空襲、沖縄決戦、戦艦大和の海上特攻と悲壮な消耗戦の連続で、読んでいて気分が落ち込むこと必至の記…

この世は物理法則で成り立っているから精神主義の敗北は必然だよね!鬼哭啾々、南海の地獄『大日本帝国の興亡(新版)3 死の島々』

大日本帝国の興亡〔新版〕3──死の島々 (ハヤカワ文庫NF)作者:ジョン トーランド早川書房Amazon■ずっと前に買ったまま積読状態だったけど、この機会に読み出すと止まらなくなって一気に読みました。1巻、2巻も面白かった記憶があるけど、いよいよガダルカ…

東映映画のアイデンティティはどこから来たのか?大下英治著『小説東映 映画三国志』

映画三国志―小説東映作者:大下 英治徳間書店Amazon■断捨離をしていて段ボール箱から出てきたので、捨てる前にもう一度読んでおこうかと手に取りましたが、さすがに面白いので一気に読みました。主役は岡田茂です。マキノ光雄らが満映の残党に仕事を与えるた…

吉永小百合に気に入られた特撮監督とは?佛田洋著『特撮仕事人』より:お前が行って来い!『長崎ぶらぶら節』秘話

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■特撮研究所社長で特撮監督の佛田洋の偉業を紹介するこのシリーズですが、さすがにこれで打ち止めにしましょう。これ以上の内容は本書を買って読んでください。絶対面白いから!■さて、最後は結…

実際いい映画が多いよね!『その場所に映画ありて プロデューサー金子正且の仕事』

その場所に映画ありて プロデューサー金子正且の仕事作者:正且, 金子,たけし, 鈴村ワイズ出版Amazon■実はたまたま中古で安く入手してそのまま積読だったのですが、やっと読めました。金子正且は「かねこ・まさかつ」と読みます。まず読めませんよね。■藤本真…

横山秀夫にしては少々甘いけど、さすがに傑作!横山秀夫著『半落ち』

半落ち (講談社文庫)作者:横山秀夫講談社Amazon■映画は封切り時に観ていたのですが、原作小説をやっと読みました。妻を殺して自首した警官は素直に自供するけど、なぜ完落ちではなく、半落ちなのか?アルツハイマーを発症した妻を殺害して、自首するまでの二…

思ってたのとかなり違うけど…帚木蓬生著『襲来』

襲来 上 (講談社文庫)作者:帚木蓬生講談社Amazon襲来 下 (講談社文庫)作者:帚木蓬生講談社Amazon■大映映画『日蓮と蒙古大襲来』を観て、なんとなく気が行かないところがあり、補完する意味で小説を読みましたけど、ちょっと思っていたのと違いました。かなり…

佛田洋著『特撮仕事人』より:『千年の恋 ひかる源氏物語』はポルノ大作のはずだった?!

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■佛田洋著の『特撮仕事人』は読みどころの多い書籍で、興味津々なんですが、今回は『千年の恋 ひかる源氏物語』に関する部分を紹介しましょう。■そもそも、佛田洋と特撮研究所がなぜ『千年の恋 …

「猫の血」あり〼かなりアダルトな短編集!手塚治虫著『空気の底』

空気の底作者:手塚治虫手塚プロダクションAmazon空気の底 (手塚治虫文庫全集)作者:手塚 治虫講談社コミッククリエイトAmazon空気の底 オリジナル版 (立東舎)作者:手塚 治虫立東舎Amazon空気の底 (ハードコミックス)作者:手塚 治虫大都社Amazon手塚治虫傑作選…

先生、木村武(馬淵薫)の経歴が違いますよ!川村湊著『原発と原爆 「核」の戦後精神史』

原発と原爆---「核」の戦後精神史 (河出ブックス)作者:川村 湊河出書房新社Amazon■手塚昌明の『ゴジラ✕メガギラス G消滅作戦』でゴジラが教えてくれたとおり、人類は大きすぎるエネルギーを制御することはできない、あるいは制御しきれない大きなエネルギー…

わが青春の内灘闘争?五木寛之著『内灘夫人』読みたいなあ…

今週のお題「読みたい本」■先日、五木寛之の『内灘夫人』という小説のことを知りました。浦山桐郎の『非行少女』が内灘闘争を背景としていたので、なにか内灘闘争について書かれた本がないかなと探っていると、まさにぴったりな小説があったというわけです。…

黒岩重吾著『西成山王ホテル』

西成山王ホテル (ちくま文庫)作者:重吾, 黒岩筑摩書房Amazon■かねてから読みたかった黒岩重吾の『西成山王ホテル』を読んだ。1965年ころに1955年くらいの時期の西成地域の情景を描いた小説でその後単行本が出ているけど、この短編集から2本の映画が製作され…

佛田洋著『特撮仕事人』より『茶々 天涯の貴妃』での大失敗とは?

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■その昔『茶々 天涯の貴妃』という東映時代劇の大作があったんですが、みなさんご存知でしょうか。知る人ぞ知る映画ですね。■どこから湧いて出たのか、ちょっと謎の企画で、当然のようにヒット…

社長、特撮研究所の後継者はどうします?でも佛田洋の偉業はギネス級!『特撮仕事人』

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■変なタイトル書いてしまいましたが、他意はありませんよ。純粋に佛田洋の特撮演出が大好物なだけで。いやほんとに佛田洋凄いと思うんですよね。こんなに長期にわたってずっと現役で特撮監督や…

【ネタバレ有〼】黒岩重吾の短編集『西成山王ホテル』と大映映画『やくざ絶唱』について

■増村保造の『やくざ絶唱』が原作モノで、黒岩重吾の短編「崖の花」という短編が原作であることや、「西成山王ホテル」という短編集に収録されていて、しかも近年再刊されて結構売れているという経緯はつい最近知ったことです。■映画についての記事は以下に…

黒岩重吾の短編集『西成山王ホテル』と日活映画『落葉の炎』について

■以前に日活映画『落葉の炎』については以下の記事で残念作と評したところですが、ずっと気になっていた原作短編を読んだので、その比較を試みたいと思います。念のためもう一度映画を観てみましたが、、、やっぱり残念でしたね。良い場面もいくつかあるので…

「ぬし」は名作!誰か映像化して!手塚治虫の『ザ・クレーター②』

手塚治虫傑作選集 (2) ザ・クレーター 2作者:手塚 治虫秋田書店Amazon■なんといっても、巻末の「ぬし」が傑作だと思います。アポロ計画の月面着陸を踏まえた異色作「クレーターの男」とか沖縄返還直後の「海の姉弟」など、時事的な作品も悪くないけど、わり…

あの「溶けた男」が入ってますよ!でも「オクチンの奇怪な体験」に感動『ザ・クレーター①』

手塚治虫傑作選集 (1) ザ・クレーター 1作者:手塚 治虫秋田書店Amazon■久しぶりに図書館に行ったので、手塚マンガを借りてきました。あまり知らない短編集ですが、さすがに名品がいくつかあります。■ベトナム戦争下の日本、紛争中の大学を舞台とした「溶けた…

意外と薄味だけど、弁太とヒノエには幸せになって欲しい『火の鳥 乱世編』

火の鳥8 乱世編(下) (角川文庫)作者:手塚 治虫KADOKAWAAmazon火の鳥7 乱世編(上) (角川文庫)作者:手塚 治虫KADOKAWAAmazon■なんとなくずっと気になっていた手塚マンガが『火の鳥』なんですが、立ち読みした限りでは、正直あまり面白そうに感じなかったので、…

怖いというよりも、読んでて結構ヒヤヒヤする『怖い村の話』

怖い村の話 (宝島SUGOI文庫)宝島社Amazon 参考 ■なかなか微妙な本を読みました。都市伝説で流布される全国の「いわくつきの地」のカタログともいうべき本で、例えば「犬鳴村」「つけび村」「売春島」「奴隷島」といった、どこかで聞いたことのあるようなオカ…

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