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=目次=

  • 『超特撮』ってなに?
  • こんな方に読んでほしい!
  • これが本書の概要です!
  • いくらするの?ただで読めないの?
  • どうやって読めばいいの?
  • お得なコースとかないの?
  • Kindleリーダーが無いと読めないの?
  • 読者のみなさまにお願い!
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『スローターハウス5』はSF映画というか、宗教映画だった?

基本情報

スローターハウス5 ★★★☆
Slaughterhouse-Five 1972 104分 ヴィスタサイズ @NHKBS

感想

カート・ヴォネガット・JRの名作SF小説ジョージ・ロイ・ヒルが映画化したもの。原作小説はむかしむかし読んでいるはずで、断片的になんとなく覚えているが、既に記憶は曖昧。いや、読んだのは『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』だった気もする。
■なんとなく名作ということだけ聞き知っていた本作、主人公、ビリー・ピルグリムナチスの捕虜になってドレスデン爆撃に遭遇して生き延びるという原作者の実体験をベースに、生と死と宇宙と時間の運命について自在な話法で物語るSF映画だった。その話法じたいは公開当時はかなり斬新だったろうが、いま観るとすんなり理解できる。なにしろトラルファマドール星人が宇宙が消滅する運命を明かし、主人公を拉致するや、お気に入りのポルノ女優と番わそうとするのだ。
■しかも、音楽がグレン・グールドゴールドベルク変奏曲なので、前線の非情で殺伐とした情景も、変な宇宙人が接触してきても実に典雅なイメージを醸し出す。音楽がこの映画のイメージを決定づけていると思う。
■人生のいかに過酷で残酷な運命も、また生き延びたとしてもいずれは死する運命であることも、すべては風の中の羽のような寄る辺なさだけど、悲観することもないよ、もともとそんなものだからね、と耳元に優しくささやくのだ。この歳になるとまったく、映画の言っていることがするりと腑に落ちる宗教的な映画。
■想い出した。やっぱり原作、読んでないね。

《この本が読みたい!》『定本円谷英二随筆評論集成』

定本円谷英二随筆評論集成

定本円谷英二随筆評論集成

このシリーズの趣旨

このシリーズ記事の趣旨は、諸般の事情(単に懐が寂しいとか、在庫がないとか、既に絶版であるとか)でまだ購入してないし、読めていないけど、絶対読む価値があるので、いつかは読みたい、あるいは入手しておきたいと素直に思う本を紹介して、色んな意味で余裕のある読者のみなさまには先んじて入手して、読んでみてもらおうじゃないかというものです。

敢えて”他人の褌で相撲を取る”ことを躊躇せず、価値ある書籍を虚心坦懐に広く紹介するという、われながら良心的な(?)コーナーです。

お奨めする理由

これはもう、何も考えずに買うと良いですよ。高いけどね。

日本映画全盛期には映画の雑誌がたくさんありましてね、キネマ旬報だけでなく、ハードな映画批評誌がいくつも出てたんですよ。

その中には『映画評論』とか『映画批評』といったスターの写真なんかはなくて、ほぼ文字だけという硬い雑誌があってですね。

そんな雑誌に円谷英二は結構特撮関係の記事を書いてるんですよ。また、よりお手軽なスタッフ座談会形式も結構多い。これらは特撮研究には欠かせない、映画制作当時の実情を明かす貴重な資料なんですよ。しかし、あまりにも古い雑誌記事なもんで、ほとんど存在が忘れられていた。

そんなところを発掘するのが、さすが竹内博。歴史のかなたに忘れ去られていた特撮関係の記事がビビッドに蘇ります。いま読んでも目から鱗の事実が。。。

実は、円谷英二全盛時代から、日本の特撮映画は進歩がないなんていう批判を浴びていてですね、円谷英二がどう答えていたと思いますか?そんな記事が満載なんですよ!

特撮に関心をもつ者は、必読にして、必携ですよ。

まだ読んでないケド!

《この本が読みたい!》『昭和演劇大全集』

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昭和演劇大全集

昭和演劇大全集

シリーズ記事の趣旨

唐突ですが、新シリーズ、《この本が読みたい!》が始まります。

このシリーズ記事の趣旨は、諸般の事情(単に懐が寂しいとか、在庫がないとか、既に絶版であるとか)でまだ購入してないし、読めていないけど、絶対読む価値があるので、いつかは読みたい、あるいは入手しておきたいと素直に思う本を紹介して、色んな意味で余裕のある読者のみなさまには先んじて入手して、読んでおいてもらおうじゃないかというものです。

読むまでも無く確実に値打ちある書籍を虚心坦懐に広く紹介するという、個人的な備忘も兼ねた(?)企画です。

お奨めする理由

今から十年くらい前に、NHK BSで『昭和演劇大全集』という番組が放映されていました。ご存知でしょうか。

昭和時代の演劇の名作をNHKアーカイブから発掘して放送するという、NHKにしかできない番組で、歌舞伎からアングラまで幅広く昭和の演劇シーンを深堀りする、それはそれは意義深い名番組だったのです。

劇作家で女優の高泉淳子東宝演劇出身の演劇評論家渡辺保に質問するというスタイルで毎回薀蓄が語られるのですが、渡辺保がねえ、もうホントに素晴らしいんですよ。上品で教養溢れる通人で紳士とは、コレ!この人!という存在感が抜群の説得力と好感を引き出す渡辺保の独壇場。諸般の事情で演劇本編の視聴は敬遠する場合も、渡辺保の解説だけは毎回観たものです。懐かしくも楽しい想い出です。

しかし、2007年4月から始まった番組が2009年3月に終了しました。正直、この番組が毎週放送されていた時期は、劇場に新作映画を見に行くよりも、昭和の名演劇を見ている方がよほど楽しかったものです。昭和演劇のドラマツルギーの濃さと演技の深みに触れると、新作映画の作劇なんて薄味すぎて観ていられなかったのでした。ホントに。

そして、数年後、番組が終了して落胆していたら、いつの間にかこんな本が出ていたのです。NHKの番組での二人のやり取りをそのまま文字起こしして採録したという奇跡の書です。ありえない宝物。座右の書にしたい。

まだ、読んでないけど、名著確定!

参考



特撮研究①:馬淵薫はホントに『砂の香り』の脚本を書いたのか?

はじめに:特撮研究

ケロヨーン!...特撮愛好家・真利光史です。
さて、特撮愛好家という肩書のくせに、ちっとも特撮関連の記事を書かないことで有名なわたくしですが、心を入れ替えて、ときどき特撮研究に関する記事を投下することにしましたよ。今回はその第一弾です。まずは、比較的軽い話題から探求してみましょう。しかも、いきなり『砂の香り』です。いったい、どこが特撮なんでしょうか!?

『砂の香り』とはどんな映画か

f:id:maricozy:20181105145244j:plain:w300:rightさて、みなさんは『砂の香り』という映画があるのをご存知でしょうか。1968年10月公開の東宝映画で、監督は岩内克己です。なんと芸術祭参加作品だったらしいです。
なんといっても浜美枝がヌードになったことで一部では有名な映画ですが、おそらくそのことがあだとなってテレビでも放映されず、名画座でも最近はあまりお目にかかれないし、上映されたとしても真っ赤に退色した雨の降るプリントしか存在しないという不遇な映画です。
内容的には、川口松太郎の『人魚』という小説を原作として、夏の渚で出逢ったわけありの人妻との禁じられた恋に身を焦がす青年の姿を、なぜか能を舞ったりする観念的な手法で描いた恋愛映画だそうです。ひょっとすると東宝映画なのに吉田喜重のATG映画の影響を受けたのかもしれません。そんな時代なんです。是非観たいものですが、地方在住者の哀しさで、未見です。

『砂の香り』脚本問題とはなにか

ところで、この映画の脚本を誰が書いたのかという問題があって、特撮愛好家の間では少し議論を呼びました。
なぜならWikipedia馬淵薫の項に『砂の香り』と作品名が書かれているためです。
この記事を読んでいる方に、馬淵薫についての説明は不要ですよね?『ガス人間第一号』とか『マタンゴ』を木村武名義で書いたあの異彩の脚本家です。戦前は関西新劇界の草創期のメンバーとして、その後は共産党の活動家として有名ですが、戦後東宝映画に関わり始めてからの方が謎が多いという不思議な人物です。本名は「馬渕」ですが、映画のクレジットでは「馬淵」の表記が多いですね。
東宝の斜陽期に馬淵薫がとうとうエロ映画を書いたのか?あるいは前衛的で観念的な恋愛映画を?確かに『ゴジラ対ヘドラ』がアレなだけに、ありうるかもと興味をそそる話題だったわけです。それはそれで観てみたい映画だったわけ。
しかし、本能的に何か違うぞと感じるわけです。東宝SF特撮映画と観念的な恋愛映画の間には深くて黒い川があるわけです。
そこでちょっと調べると、この記事の主な情報ソースはどうやら日本映画データベースであるようです。

情報源を探れ!

確かに、日本映画データベースによれば、『砂の香り』の脚本が馬淵薫岩内克己の共作となっています。
Wikipediaもおそらくこれを出展として書かれているのですが、ほんとうに馬淵薫が前衛的で観念的な映画の脚本を書いたのでしょうか。
しかも、事実上、田中友幸の座付き作家である馬淵薫が、小寺朝名義でじぶんで脚本も書く山田順彦プロデューサーと組むだろうかという素朴な疑問も浮かびます。
この映画はごくまれに東京の名画座にかかる程度で、観た人も非常に少なく、誤ったデータのコピペが繰り返されて、どうも混乱が生じているようなので、ここで整理しておきたいと思います。

データベースを調査してみた

ホントなら映画のポスターなどを参照すれば一発で解決するのですが、なにしろほぼ忘れられた映画でもあり、地方在住者の哀しさ、本物のポスターはお目にかかる機会がありません。ネット上のポスター画像も解像度が不十分です。。。
そこでインターネット上で参照できる映画関係のデータベースを調べてみました。
すると、日本映画データベースは「脚本 馬淵薫岩内克己」となっていますが、東宝のMOVIE DATABASE では「脚本 馬島満、岩内克己」となっています。はて、馬島満とは誰でしょうか?しかも、「ばばみつる」と読ませています。謎は深まります??
いっぽう、日本映画製作者連盟のデータベースでは「脚本 馬島満、岩内克己」となっており、東宝MOVIE DATABASEと同じデータを利用しているようです。
続いてMovieWalkerは、元々キネマ旬報のデータを利用しているはずですが、「脚本 馬嶋満、岩内克己」となっています。
なにやら藪の中って感じになってきましたが、少なくとも馬淵薫ではなさそうだという印象です。日本映画データベースだけが馬淵薫をうたっており、日本映画データベースのタイプミスじゃないかという気がします。
そして、困った時のキネ旬頼み。当時のキネマ旬報を確認するのが一番です。そこで目次を確認するとすべての疑問が解消しました。
なんと1968年10月下旬号に『砂の香り』の脚本が収録されているというのです!
キネマ旬報にシナリオが載るということは、当時それなりに話題を呼んでいたことの証左です。しかも、芸術祭参加作品だとか。低予算作品ではあるものの、当時かなり力を入れた話題作だったことがわかります。今となってはほとんど忘れ去られた小品ですが、当時の悶々たる思春期の若者たちの記憶の中には鮮明に残っているはずですね。(あまり話題にもならないのが不思議)
そこで目次検索によると「脚本 馬島満、岩内克己」となっています。同じデータを使用しているはずのMovieWalkerのデータベースの表記と異なるのが謎ですが、すくなくとも馬淵薫ではないことは断定して間違いないでしょう。

「ましまみつる」とは誰か

では、「ましまみるつ」あるいは「ばばみつる」とはどんな脚本家だったのでしょうか。
1967年にNHK劇場 愛のシリーズの懸賞ドラマ佳作入選作「バチ当り」で「馬場満」という名前が見つかります。出演が伊藤雄之助沢村貞子、太田博之、小川知子、田島義文、渥美国泰という豪華なラジオドラマです。さすがNHK
その後、テレビドラマデータベースによると、「馬島満」さらに「馬嶋満」として主にテレビドラマ、なかでもテレビアニメを中心として大活躍しているようです。『エースをねらえ!』『UFOロボ グレンダイザー』『ドカベン』『惑星ロボ ダンガードA』といったメジャータイトルが並ぶ売れっ子じゃないですか。しかも1967年のテレビドラマ『太陽のあいつ』では監督の岩内克己とコンビを組んでいます。後には『快傑ライオン丸』も書いてますよ、やっと特撮にたどり着いた!
『砂の香り』は、おそらく岩内克己が『太陽のあいつ』で組んだ若手脚本家を呼び寄せたのでしょう。
実際のところ、「ばばみつる」から「ましまみつる」の間には超えられない壁があるような気がするので、同一人物かどうかは不明です。
ひょっとすると女性で、結婚により改姓したのかもしれませんが、性別も不明です。メジャーなアニメをいっぱい書いているのにネット上にも詳細な情報が無いのが不思議です。

結論

あまり特撮っぽい話にはなりませんでしたが、『砂の香り』の脚本を書いたのは、馬淵薫ではなく、馬島満(馬嶋満)であったことは確実でしょう。つまり名前のうち「馬」しかあっていなかった!というのが、特撮研究①のお粗末な結論でした。
ああ、すっきりした。
一体誰がタイプミスしたんでしょうか。予測変換機能のいたずらじゃないかと思います。
さて、これにて読者のみなさまの溜飲は下がったでしょうか?ちっとも特撮じゃなかったけど!
それでは次回の特撮研究でお逢いしましょう!!バハハーイ!

参考

こちらのHPの記事が物語を詳細に記録してくれていて役に立ちます。(脚本が馬淵薫になってますが!)これを読むとパーフェクトに好物なお話なので、やっぱり観たい!ニュープリントでお願いしたい!監督が岩内克己じゃなくて、森谷司郎とか恩地日出夫とか出目昌伸だったらもっと成功していたかもと妄想するなあ。ロバート・マリガンの『おもいでの夏』よりも早いよ!
砂の香り

ちなみにこれは主題歌ですよ。これも是非聞いてみたい。

砂の香り (MEG-CD)

砂の香り (MEG-CD)

馬淵薫の活躍した時代は、本書で取り上げた1980年代以降の特撮映画史においては、前史という位置づけです。

馬淵薫といえば『マタンゴ』。『マタンゴ』といえばイメージソースが『ひかりごけ』にあることは、知る人ぞ知る事実(妄想?)
maricozy.hatenablog.jp

青虫&おじさんwith反日暴力女記者⇒土曜ドラマ『フェイクニュース』にみる社会派エンタメ作法

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基本情報

フェイクニュース ★★★☆
作:野木亜紀子 音楽:牛尾憲輔 プロデューサー:北野拓 演出:堀切園健太郎、佐々木善春
出演:北川景子光石研永山絢斗矢本悠馬、金子大地、新井浩文岩松了杉本哲太

感想

■なんだか馬車馬のように働いている野木亜紀子のオリジナル脚本で、いわゆる社会派サスペンス。カップ麺への青虫混入事件を発端として、素朴に出来事をネットに拡散したもの、それを利用してフェイクニュースをバラまいて、ある政治的意図を実現しようとするもの。彼らの意図とフェイクニュースのメカニズムをかなりリアルに探った力作。新聞社を左遷され、系列のネットニュースサイトでPV稼ぎの記事を書かされている女記者が主人公となって、左遷の原因となった厚労省幹部の不正疑惑事件との関連が浮上してくる。フェイクニュースという素材だけではなく、ヘイトクライム外国人労働者の問題も盛り込んで、非常に意欲的なドラマとなっている。
野木亜紀子の脚本って、実は『アイアムアヒーロー』しか知らないのだが、何故か骨太な活劇とかサスペンスが書ける人なのではという印象がある。その意味ではなんとなく那須真知子を想い出したりする。本作も後編では県知事選挙を巡る不正疑惑に主題がシフトしていき、外国人労働者の受け入れに関する県知事候補者の不正のメカニズムが明らかになる。その中で女主人公と元厚生労働省幹部との過去の軋轢が回想され、そいつが諸悪の根源かとおもいきやというツイストが用意されている。しかも、そのスクープがあろうことか・・・という結構大技の逆転劇が仕込まれており、やっぱり骨太な構成の妙で、ほんとに上手い。
■そこにヘイト団体と反ヘイト団体が乱入して小競り合いが発生するという展開も加わって、ますます熱気を帯びるが、さすがにこれは作り過ぎ、”ため”にする展開で、十分に消化できていないと感じた。映像的には派手になって面白いんだけど、少々作り過ぎ。
北川景子杉本哲太の特に終盤の皮肉がきいたエピソードなども大人のリアリティがあるし、よく書けているいっぽう、リアルで突き詰めるのか寓話でいくのかぶれている感じもあって、尻が座らない印象が残った。デリケートな素材故、仕方ないのかもしれないが。
■ちなみに、NHKの公式サイトによると、野木亜記子は以下のように記している。

NHK!社会派!現代社会に警鐘!」なんていうと難しいドラマのようですが、いうても青虫です。青虫と登場人物たちの悲喜こもごもを、軽い気持ちで観ていただけたら幸いです。

また、プロデューサーの北野拓は

社会的なテーマをエンターテイメント性豊かなドラマとしてお届けします。堅くて難しいイメージのNHK社会派ドラマが生まれ変わります。

と記しており、リアル方向に寄せすぎないという作風は明確に意図されたもの。あまりリアルに振ってしまうと重苦しくて若い人が見てくれないからね。
■ちなみに、プロデューサーの北野拓はもともと報道畑の人らしく、そういえば『ワンダーウォール』のプロデューサー、監督も報道畑だったはず。本作もプロデューサーからの提案は恋愛ものでという話だったけど、脚本家からもっとエッジのきいたものが書きたいと社会派に攻め込んでいるが、同様のことが『ワンダーウォール』でも起こっていて、あれも最初の提案は学生寮を舞台としたわいわい楽しいドラマという提案だったのを、渡辺あやが廃寮の話を提案したんだよね。いまNHKの中で何かそういうムーブメントが起こっているのか?謎のシンクロニシティに”何か”の胎動を感じる。

なぜに『炎の城』はハムレットなのか?

炎の城 [VHS]

炎の城 [VHS]

基本情報

炎の城 ★★☆
1960 スコープサイズ 98分 @NHKBS
脚本■八住利雄、撮影■吉田貞次、照明■中山治雄、美術■吉村晟、音楽■伊福部昭、監督■加藤泰

感想

八住利雄が『ハムレット』を時代劇に翻案した異色の時代劇大作。ハムレット大川橋蔵、オフィーリアは三田佳子!王子が明国から帰ってくると大見の城は父親にとって代わって叔父が城主に収まり、しかも母を妻に迎えていた。叔父が父を謀殺した疑惑に身の危険を感じた王子は偽狂人として振る舞う。また、城主の野心の犠牲となって重税に苦しむ領民たちに心を寄せる王子は、百姓たちのために立つことを約束するが、偽狂人であることがバレると・・・
■今となっては企画意図が判然としないのだが、大川橋蔵の演技派への脱皮のために用意された企画だろうか。あるいは、当時黒澤明がさかんにシェイクスピアの時代劇への翻案を行っていたことを意識したのかもしれない。マンネリ化が叫ばれる時代劇の改革という意図だったかもしれない。
■さすがに時代劇大作で、美術セットの豪壮さは見ごたえがあるし、加藤泰のクレーンを使った長廻しはまるで相米慎二だし、いくつかの名シーンもある。あるんだけど、最終的にはかなりずぶずぶになってしまう。クライマックスの大見城の陥落もスペクタクルとしては盛り上がらないし、いくらなんでも死んだはずの王子が元気そうに大河内伝次郎を一騎打ちという趣向は、さすがに段取りが苦しくて失笑を誘い、チャンバラの醍醐味も薄い。そもそも、クローディアスに大河内伝次郎の配役はこの時期としても苦しい。ここは当時東映京都に出入りていた新劇系俳優でよかったと思うがなあ。
■全体にシェイクスピアに義理立てし過ぎて不自然になった印象で、意欲作ではあるものの失敗作という雰囲気。立派な作画合成(あるいはミラーワーク?)もあれば、炎上する大見城はミニチュア撮影だし、見どころは少なくないんだけど。
■それに、この翌年の傑作『反逆児』に妙に似ているのも気になるところ。母親の前で屏風の陰に隠れた敵を切り捨てる趣向なんて、全く同じで、『反逆児』の方が成功しているんだけど、なんでこんなに似ているのか。まるで双子のような映画だ。音楽も伊福部昭で、これもやっぱり『反逆児』の方が傑作だしね。

参考

これ観てるんだけど、そういえばあまり記憶に残っていないぞ。面白かったんだけどなあ。

ハムレットだったかどうかも怪しい。でも、浪花風味が楽しい。

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