お待たせしました!ついに電子書籍『超特撮 vol.2』刊行!

f:id:maricozy:20191008204735p:plain

ついに『超特撮:日本特撮映像発達史』シリーズ第二巻の刊行です!

■お待たせしました!『超特撮 vol.2』が、やっと出来上がりました。本当なら昨年中に発行する予定だったのですが、昭和男子ならではの家庭の事情がいろいろと錯綜してなかなかまとまった時間がとれませんでした。昭和男子の辛いところですね。。。
■しかも、そうこうしているうちに、突然洋泉社から『平成大特撮』が出版されたりするので大いに焦りましたが、本書では「昭和」の終わりから「平成」にかけての時期を扱っているので、内容的にほとんど重複はないのでした。

続きを読む

ボタンを掛け違えたのは誰か?あゝ事故物件!『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』

感想

■なんとなく酷評しか目にしなかったので劇場では観なかったこの映画、シークエル三部作の最終作の劇場公開に駆け付けるためには避けて通れないだろうと、今更ながら観てみたけれど。。。これは確かに事故物件ですな。
■誰がライアン・ジョンソン呼んできたんだ?というレベルで脚本も演出も露骨に不器用。全くドラマが書けていないし、話術の愉しさも存在しない。前作はちゃんとローレンス・カスダンを呼んできて、語り口の愉しさだけで引っ張られた感があるが、本作のたどたどしさは好対照と言えるだろう。レイとルークの島での修行のやり取りなど全くひどくて、舞台設定の退屈さは前作からの引継ぎ事項なのでいたしかたないとしても、一体いつまでフォースについて彫り続けようとするのだろうか。そんな設定をいくら掘ったところで、何も出るわけが無いというのに、延々と何か意味ありげな空疎な展開が続き、ひたすら冗長。(もともと考えていないのだから)
■演出も妙に素人っぽくて、孤島のシーンなんて、ロケ撮影もあまりに貧乏くさくて夢がないし、なにかというと意味のない空撮カットを挿入して何がしたいのか意味不明だ。エスタブリッシュショットをVFXで空撮からシームレスに寄っていくみたいな紋切型の表現はホントに退屈で、何も考えていないに等しいから止めてほしい。ジェダイの島でレイとレンが空間を超えて会話を交わす場面の安易さにも驚いた。いまどきこんな安直な表現が許されるのか。。。なぜプロの脚本家を呼んでこなかったのか?
■おまけに何故かILMVFXが全般に冴えず、特撮スペクタクルの見せ方にも新機軸がない。すべてどこかで観たような映像ばかりなのだ。しかも見せ場のスケールが妙に小さい。スター・ウォーズなのにだよ!あり得ないよね!特にひどいのが宇宙空間での艦隊戦の演出で、スター・ウォーズの主役の一角たる宇宙船に対する愛が全くない。画角のとりかたも、妙に宇宙船を引いて撮るので、ディテールも質感も存在感もキャラクターも表現されていない。というか演出方針にそのつもりが全く無いようなのだ、驚くべきことに。それがライアン・ジョンソンの資質なのだろうが、頭を抱えるしかない。
■レイア将軍を護るため陽動作戦を志願するホルド提督(ローラ・ダーン)の見せ方にしてひどいもので、ほぼ棒立ちの状態で撮ってしまう。お姫様じゃないんだからね。お約束の特攻作戦は燃える見せ場なのに、そのための段取りが全くなっていない。
■レイ、レンとスノーク提督の対決シーンもお約束通りの燃える活劇が一瞬炸裂するものの、そもそもスノーク提督って、困ったことにCG感丸出しなので全く魅力がない悪役なんだよね。ホントに勘弁してほしい。大物俳優にそのまま演じさせた方がよっぽど効果的なのに。
■そもそもスター・ウォーズってちゃんと悪役が描かれたことはなくて、巨悪は基本的に書割的で、格下のダース・ベイダーとかの前線で戦う中間管理職的な騎士クラスが悪役の魅力の源泉という構図なんだよね。
■しかも、帝国軍の圧政の具体像、実情が描かれない。罪のない一般民衆がどのように苦しんでいるのか、世界の下層階級の苦しみが描かれないまま、将軍や兵士たちが言葉だけでレジスタンスと叫んでみても、ドラマは過熱するはずがないのだ。というところがスター・ウォーズシリーズの根本的な欠陥で、なぜか誰も手を付けないで、軍事組織の中だけでお話を転がすから切実さというものがはなから皆無なのだ。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ  (吹替版)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ (吹替版)

  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: Prime Video

参考

『フォースの覚醒』は意外にも痛快な活劇で、成功作だったのに。
maricozy.hatenablog.jp
『ローグ・ワン』は、なにしろ監督がギャレス・エドワーズなので、正攻法の活劇にはなるはずがないのです。でも『最後のジェダイ』とは違って、特撮スペクタクルとしてはかなり見応えがあったし、最後にあそこに接続すれば、誰も文句は言えなくなるというズルい映画。
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp

取り返しのつかない、たった二分間の沈黙『僕たちは希望という名の列車に乗った』

基本情報

Das schweigende Klassenzimmer ★★★☆
2018 スコープサイズ 111分 @DVD

僕たちは希望という名の列車に乗った [DVD]

僕たちは希望という名の列車に乗った [DVD]

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: DVD

感想

■まだ「ベルリンの壁」が存在しなかった1956年の東ドイツ、エリート高校の生徒たちは禁じられているアメリカのラジオを聞いて、ハンガリーの民衆蜂起で市民に多数の死傷者が出ていることを知り、翌日の授業で黙とうのために2分間の沈黙を捧げるが、学校は体制への反抗として問題視、首謀者の追求を始め、学生たちはサッカー選手の死に対する黙とうで政治的な意味はないと反論するが、遂には教育相が学校に乗り込んでくる…
■という実際に起こった事実をもとにした映画。どこまでが事実なのかわかりようがないが、非常に興味深い。学生たちの親の世代との関係も織り込んでんそう、特に父と息子の関係性のなかに、この時代の東ドイツの戦後社会の姿を凝集して描いている。ナチスと戦って死んだ英雄を父に持つ子供のエピソードが終盤に大きな意味を持ってくるのだが、かなり悲痛な真相で心が痛む。戦争の爪痕、東西体制に引き裂かれたドイツの悲劇を象徴しているだろう。
■一方、1953年の東ベルリン暴動に参加したためにエリート層から労働者階層に落とされた(?)父親を持ち、労働者階級出身のエリート候補生として、同様の出自を持つ校長からも特別な期待をかけられる少年の決断も見ごたえがあり、ラストのある行動(タイトルでネタバレ!)は悲痛であり、痛快でもある。たった二分間の黙とうという小さな反抗がクラスの大半の生徒の人生を大きく変えることになったという知られざる事件で、それだけでも知る価値があるというものだ。ラストは意外とあっさりしていて、もう少し押しが欲しい気もするが、脚本、監督のラース・クラウメという人はなかなかの巧手だ。

参考

こちらが原作らしい。映画を観るとクラスの生徒たちのその後の人生が知りたくなるが、どの程度書かれているのだろうか。

沈黙する教室 1956年東ドイツ—自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語

沈黙する教室 1956年東ドイツ—自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語

最後が三丁目の夕日に見えては困る『1987、ある闘いの真実』

基本情報

1987 ★★★
2017 ヴィスタサイズ 129分 @DVD

1987、ある闘いの真実 [Blu-ray]

1987、ある闘いの真実 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: Blu-ray

感想

■1987年、学生運動家の警察による拷問死に端を発して韓国で激化した民主化抗争の、その発端部分を史実とフィクションをない交ぜにしながら描いた熱い映画。特に対共捜査所長を演じるキム・ユンソクの役作りが強烈で、その化けっぷりは圧巻。脱北者として反体制狩りにまい進する狂信的な存在感が映画を牽引する。序幕でそれに徹底的に反抗するソウル地検の検事部長も役得で、この対決の構図で全編ひっぱるのかと思いきや、検事部長は途中で退場してしまうのは史実だからだろうが、もったいない気がするなあ。ハ・ジョンウの好演も含めてね。
■後半はお馴染みユ・ヘジン演じる反体制派の看守とその姪っ子キム・テリのお話に移行し、刑務所内から拷問死の真相を世界に向けて報道するための情報戦が描かれる。そして、キム・テリのノンポリ女子大生は実在の学生運動家の青年と結びついてゆくが、その学生運動家は武装警官から催涙弾の水平射撃を受け。。。
■キム・テリの女子大生はフィクションらしいが、学生運動家の拷問死から、当然想像されるラストの大集会へと軍事独裁に対する反抗の熱が高まってゆく構成はオーソドックスなもので、悪くないよ。ノンポリの女子大生が軍事独裁のえげつなさに対して、はじめて自分自身の考えを持つに至る変化と成長を描くのはオーソドックスな作劇だけど、それならもっと早く登場させてもよかったのでは。前半と後半で主人公が交代する印象なんだな。監督は敢えてそうしてるんだろうけど。
■ただ史実に基づいて実録映画風に展開する前半のえげつなさと怖さとスリリングさに比べると後半の作劇はちょっと甘い気はするし、ラストの街を彷徨うキム・テリがデモに合流し、バスの屋根に上って同じ志の大群衆を目にするあたりの見せ方も、気持ちは非常によくわかるけど、VFXを使って実際に映像にすると、夕陽のハレーションのいかにもな入り方なども含めて作為が過ぎて、なんだか『三丁目の夕日』に見えてしまうのは困るのだ。
■メイキング映像を見ると、街頭デモのシーンは大幅にVFXが利用されているようで、大量のグリーンバックが見えますよ。建物や看板なども大幅にCGが使用されている。そのわりには、まったく気にならないので大したものです。ラストシーンなどはあまりにキレイな決め絵を作ろうとするから、逆にわざとらしく浮いてしまう結果になったのだ。

1987、ある闘いの真実(吹替版)

1987、ある闘いの真実(吹替版)

  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: Prime Video

今度はBTTF2なのだ!『ハッピー・デス・デイ 2U』

基本情報

Happy Death Day 2U ★★★
2019 スコープサイズ 100分 @DVD

感想

■年を越した個人的ブラムハウス祭り、正月から見るブラムハウス映画は楽しいね。好評だった前作を受けてさっそくシリーズ化を狙った第2作目。前作は『恋はデジャブ』だったが、こんどは堂々と『BTTF2』を宣言する。実に正直で良いですね。
■本作から完全にお気楽SF映画として再構成し、永遠の一日が続くのは大学生の実験装置が多元宇宙を生み出したからという理屈で、また永遠ループに落ち込んだヒロインが、実はその世界は元の世界の巻き戻しではなく、似ているけどちょっと違った次元の世界で、この世界では生き別れた母親が死んでいないことを知り、この世界に留まるのか、元の次元に戻るのかを悩んで最終的に選択するというお話になっている。いろいろなギミックや小技を詰め込み過ぎで、さすがに途中から飽きてくるけど、お話の基本的な構成はしっかりしているので、安心して観ていられる。
■当然というか、母親の生きている世界では殺人鬼の正体も異なり、前作で不採用となったラストの趣向もここで生かされるから、DVDとかの特典映像をちゃんと観てくれた人にはちょっとしたサービスがあるのだ。ホントにサービス上手なスタッフですよ。本作は監督のクリストファー・ランドンが脚本も書いていて、かなり大風呂敷を広げてしまったので、第三作はたぶんもっと世界観が拡大して世界的な大事件を起こしそうな気がする。ただ、そうなるとブラムハウスの低予算ではカバーできないから、やっぱり大学内事件で終始するのかな。

嫌だ!チャッキーの顔がオッサン!『チャイルド・プレイ』

基本情報

Child's Play ★★☆
2019 スコープサイズ 90分 @DVD

チャイルド・プレイ[Blu-ray]

チャイルド・プレイ[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: Blu-ray

感想

■昔懐かしい『チャイルド・プレイ』のリメイク、というかリブート作品ですね。昔のアレはブードゥーの呪いで暴れていたのですが、今度はAI搭載の人形が製造工場で働くベトナム人労働者の搾取への怨念を背負って大暴れです。時代を掴んだ設定は悪くないですが、ロマンが無いなあ。世知辛い。
■しかも今度のチャッキーは可愛さ要素が一切ないですからね。昔のアレはそれなりに愛嬌があったわけですが、今度はチャッキーというよりも、サンダーバードに近いですからね。顔がオッサンなんですね。確実に不気味ですが、そうなると稚気が減退してゆくわけです。
■ご主人様たる孤独な少年に仇する周りの人間どもを片っ端から血祭りにあげるチャッキー。そんな事件を契機になぜか友達ができた主人公に対して、僕を捨てるなんて!とますます逆恨みするチャッキー。監督は敢えて80~90年代のジャンル映画を参照しながら子供たちの冒険物語として構築してますね。『グレムリン』とか『グーニーズ』とかの路線ですね。それはそれで悪くない。そうそう、まるまる『ダイ・ハード』もありましたよね。
■けど、主人公の男の子が友達と繋がっていくあたりのドラマの胆の部分の書き込みが十分でなく、なんだかご都合主義的に感じられるのは勿体ないな。偽りの友達(=チャッキー)ではなく、本当の友達へと移行して成長してゆく主人公を描く青春映画でもあるので、もう少しそこには尺を回しても良かったのでは。正直スーパーでのドタバタ場面なんてあまり意味がない。
トム・ホランドが土俗的な呪いをベースに古典的な人形怪談をスラッシャー映画として甦らせたオリジナルの方がやっぱり好きですね。電池が入ってないことが暴露されて「バレたか~」と開き直るシーンは最高だったもんなあ。トム・ホランド、あの頃冴えてたよなあ。

嫌いになれないダメな奴!南洋怪奇幻想譚『パラサイト 禁断の島』

基本情報

prey ★★
2019 スコープサイズ 85分 @DVD

パラサイト 禁断の島 [DVD]

パラサイト 禁断の島 [DVD]

感想

■個人的に年末ブラムハウス祭りを開催中です。いいですね、ブラムハウスの低予算ホラー路線。なにより気楽に楽しめるのがいい。妙に長かったり、大仰に構えたりしない、気楽にふらっと怪奇ロマンの世界に浸れる、下町の定食屋のような気安さとそこそこの上手さ(美味さ)が身上のプロダクション。
■さて第二弾は、心理的なトラウマからの立ち直りのためのサバイバル講習でマレーシアの無人島にたった一人で残された青年が、そこでいないはずの不思議な少女と出会うことから、島の隠された秘密に触れることになるという、昔懐かしい古風な怪奇ロマン映画。しかも、島には少女のほかにその母親もいて、少女からは母親には気を付けろと注意されるので、主人公の青年はすっかりその気に。お話の展開はなんとなく分かりますよね。その通りに転がってくれるので嬉しいです。
■監督はフランク・カルフンという知らない人。ブラムハウス作品は基本的に脚本に見どころがなければ着手しないはずなのだが、時々、なんでこれ作ったの?という駄作が混じる。どちらかとえいば、本作は駄作の部類。1960年代に量産されたC級ホラー映画を思わせる、全く新味のないサバイバル風味のホラー映画。この監督は露骨に下手で、孤島のジャングルという舞台設定を映画的に活用できていない。撮影も妙に貧乏くさくて、マレーシアのロケに出た時点で予算が払底してたって感じ。いまどきのハリウッド映画のルックではない。昔のC級ホラーの雰囲気を狙って、意図的に安いフィルム撮影のルックを再現したのかもしれないが。
■最終的に編集でなんとか恰好を付けようとしたものの、そもそも現地ロケでの素材がうまく撮れていないのでどうしようもなかったという感じが、編集構成の歪さからひしひしと伺える。いまさら追加撮影する予算を出すのも無駄という現実的な判断があったのだろう。
■主演のダメな若者を演じるローガン・ミラーという俳優も、もう少しルックス優先で配役してもらわないと、見栄えが悪いですよね、さすがに。確かに小太りで、衣服もダルで、リアルな駄目さ加減は出ているのだが、ほとんどこの青年の独り舞台なので、さすがに映画がもたない。
■せっかくのオカルト設定も実に雑で、全く捻りも無いし、恐怖演出にも全く工夫がない。実際のところ、この程度のお話なら、誰でも考え付くレベルだ。ジャングルの描写も全くダメで、こんなことなら、ロケではなくオールセットで撮った方がよほど雰囲気が出ただろう。(ただ、その方が確実に予算を食う)
■でも、南海の孤島で神秘的で危険な美少女と愛し合うという南海幻想と怪奇の融合は素材としては非常に魅力的で、もっといい脚本でもう少し予算をかけて丁寧に作ってくれれば、いいものができる可能性はあったはず。香山滋的な怪奇ロマン映画がありえたはずなのだ。という意味で、個人的には捨てがたい映画なんだな。普通の人にはおススメできないけどね。

参考

海鰻荘奇談 香山滋傑作選 (河出文庫)

海鰻荘奇談 香山滋傑作選 (河出文庫)

海鰻荘奇談 (文庫コレクション 大衆文学館)

海鰻荘奇談 (文庫コレクション 大衆文学館)

怪奇探偵小説名作選〈10〉香山滋集―魔境原人 (ちくま文庫)

怪奇探偵小説名作選〈10〉香山滋集―魔境原人 (ちくま文庫)

おバカ娘は何度死ねば人間的に成長するのか、実験してみた『ハッピー・デス・デイ』

基本情報

Happy Death Day ★★★☆
2017 スコープサイズ 96分 @DVD

感想

■極私的年末ブラムハウス祭りの第一弾。夏場にちょっと話題になった本作ですが、本国の公開は2017年なので、随分寝かされていたわけですね。というか、最近こうした小品があまり公開されなくなりましたよね。アメリカ映画はブロックバスターの超大型映画ばかりで、普通の規模のこじんまりとした映画がなかなか観られなくなりました。映画の未来にとって深刻に困ったことだと思います。
■さて、本作は明らかに『恋はデジャブ』を下敷きにしており、ちゃんと終盤に自分から白状してますからね。さすがに珍しいと思うけどね。
■素行の悪い女子大生が自分が殺人鬼に殺される一日を何度も経験するというお話で、その中でトライアンドエラー方式で殺人犯を追及したり、殺人鬼から救ってくれた男の子を好きになったり、というお話。監督はクリストファー・B・ランドンという脚本家出身の人。これが実に上手い人なのだ。
■現実から逃げて人生を舐めていた女子大生が同じ悲惨な一日を何度も経験するうちに、自分のことだけを考える人生ではなく、他人の存在を認識し、他人との関係性のなかで自分も存在することを悟るところが作劇の胆で、その反省が素直に共感できるものとして描かれているのがこの映画の優秀なところ。監督は述べていないが、明らかに黒澤明の『生きる』が参照されている。逃げ続けてきた父親と向き合い和解する場面で、父親から”誕生日おめでとう”と言われる場面は、素直に感動的だ。ほら『生きる』の有名な名場面を引用してるでしょ。
■脚本はスコット・ロブデルという人が書いてますが、さすがに凝っていて、ラストの殺人鬼との対決場面も捻っている。と思いきや、さらにツイストがあるのだが、面白いとはいえ、さすがにご都合主義のやり過ぎ感も感じるところ。このジャンルはやりだすときりがないからね。
■下品で脳みそ空っぽで意地が悪い女子大生をジェシカ・ローテが好演。よくぞここまでという不行跡のやり放題だけど、最終的にはちゃんと魅力的に変身しますからね、単純に面白い。