基本情報
Waterloo ★☆
1970 スコープサイズ 134分 @NHKBS
感想
■1815年、エルバ島に追放されていたナポレオンがフランスに再上陸し、雨上がりの泥濘の戦場で英蘭連合軍と戦って、勝ったと思った瞬間、プロシア軍が駆けつけて形勢逆転、最終的に敗北したワーテルローの戦いを、特撮も合成もなしで、人海戦術のマスゲームで描いた超大作。イタリアのラウンレンティスがソ連と組んでソ連軍を動員して撮ったという離れ業。そのため監督にソ連のセルゲイ・ボンダルチュクを起用している。
■ただ、とにかく冗長。だらだら長い。ロッド・スタイガーはナルシスティックに思う存分間を取った演技で押し通すし、この頃の大規模な合戦シーンは単なる物量スペクタクルにとどまり、サスペンスを生まない。とにかくお話が単純だし、脇役たちの描きわけも、作戦行動のサスペンスもうまく行ってない。すでに1960年代に3時間映画では若干冗長気味だけど、意外としっかりドラマや芝居の見せ場やスペクタクルを描き出すのに成功していて、それらの作品群と比較すると明らかに不出来。編集でどうにかなるレベルではなくて、脚本の内容が薄いのだ。
■英軍のウェリントン元帥をクリストファー・プラマーが颯爽と演じて、これは惚れ惚れするかっこよさで非常に見栄えがするのだが、役に対する作劇としては笠原和夫が書いた『二百三高地』の丹波哲郎なんかのほうが、よほど優れているよなあ。
■大合戦を延々と空撮で追ったり、大ロングの映像は単純に口があんぐりするけど、こういうのを虚仮威しと言いますね。「負け戦の次に悲惨なのは勝ち戦だ」という厭戦的な名台詞を残したけど、それだけじゃ困る。当時も興行的に苦しかったそうだけど、当然だよね。
■でも、放送原盤は無駄に高画質なリマスターで、特に広角側のレンズで撮ったカットのカリカリの解像度と色彩表現には驚愕する。ズームレンズで撮ると露骨に画質が落ちますね、この頃。
参考
スペインロケで撮影された1960年代の3時間映画の数々は、今観てもなかなか秀逸なのだ。
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戦記映画はこれくらいのレベルで作ってもらなわいとだね。
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戦記映画の作劇術としては最高レベルでしょう。芝居の見せ場の数々。
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