佛田洋著『特撮仕事人』より『茶々 天涯の貴妃』での大失敗とは?

■その昔『茶々 天涯の貴妃』という東映時代劇の大作があったんですが、みなさんご存知でしょうか。知る人ぞ知る映画ですね。

■どこから湧いて出たのか、ちょっと謎の企画で、当然のようにヒットもしなかったのですが、実は相当な大特撮映画でした。なぜかといえば監督の橋本一が特撮オタクだから。という舞台裏について特撮監督の佛田洋が『特撮仕事人』の中で言及しています。「監督が実は特撮好きで、あれは”特撮ありき”で始まった作品だったんですよ。」と意外な事実を語ります。

■ところが、京都撮影所の駐車場に築造したオープン撮影用の大阪城のミニチュア崩壊の撮影で、高機能なAキャメラが故障してしまい、メインポジションの狙った画が撮れなかった。壊れたミニチュアを組み直して後日リテイクはしたけど、元々狙ったような壊れ方にはならなかったと述懐します。

■確かに完成作品は比較的単純な爆発、炎上で、橋本一の思い描いた「武士の切腹のように崩れながら。。。」とはなってませんね。

■こうしたトラブルは特撮現場で稀に発生して、ミニチュア特撮ゆえにリカバリーが困難になるのですが、そこはもう諦めの境地で使える画を繋いで編集でリカバリするしかないわけですね。この映画の場合は、明らかにそこは疵になってましたが、本当はそんな狙いのある特撮場面だったわけです。この舞台裏のトラブルを知って、ちょっと腑に落ちた次第です。

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