■久しぶりに図書館に行ったので、手塚マンガを借りてきました。あまり知らない短編集ですが、さすがに名品がいくつかあります。
■ベトナム戦争下の日本、紛争中の大学を舞台とした「溶けた男」は1960年代末の時代色が濃厚で、有名な怪奇短編。いろんなところに収録されてますね。これだけは以前になにかのアンソロジーで読んでます。当時のことだから、どさくさ紛れにテレビ映画化しちゃえばよかったのになあ。監督は佐藤肇で。
■コミカルな「三人の侵略者」も実によくできたお話で完成度が高いですね。まあパターンなんですが、宇宙人が漫画家の脳を吸収するとどうなるのか?ってところですね。あとは雪原の中をトラックが暴走する「雪野郎」もいいお話で、秀作だと思います。エゾジカにも心があるのか?あるとすれば。。。
■本書の中では「オクチンの奇怪な体験」に一番感心しました。実にシンプルな構成と見事なオチ、そして社会性と叙情のバランスが絶妙。これは傑作短編といって過言でないでしょう。彼女はきっと天国へ着いたことでしょう。。。