東映映画のアイデンティティはどこから来たのか?大下英治著『小説東映 映画三国志』

映画三国志―小説東映作者:大下 英治徳間書店Amazon■断捨離をしていて段ボール箱から出てきたので、捨てる前にもう一度読んでおこうかと手に取りましたが、さすがに面白いので一気に読みました。主役は岡田茂です。マキノ光雄らが満映の残党に仕事を与えるた…

吉永小百合に気に入られた特撮監督とは?佛田洋著『特撮仕事人』より:お前が行って来い!『長崎ぶらぶら節』秘話

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■特撮研究所社長で特撮監督の佛田洋の偉業を紹介するこのシリーズですが、さすがにこれで打ち止めにしましょう。これ以上の内容は本書を買って読んでください。絶対面白いから!■さて、最後は結…

実際いい映画が多いよね!『その場所に映画ありて プロデューサー金子正且の仕事』

その場所に映画ありて プロデューサー金子正且の仕事作者:正且, 金子,たけし, 鈴村ワイズ出版Amazon■実はたまたま中古で安く入手してそのまま積読だったのですが、やっと読めました。金子正且は「かねこ・まさかつ」と読みます。まず読めませんよね。■藤本真…

横山秀夫にしては少々甘いけど、さすがに傑作!横山秀夫著『半落ち』

半落ち (講談社文庫)作者:横山秀夫講談社Amazon■映画は封切り時に観ていたのですが、原作小説をやっと読みました。妻を殺して自首した警官は素直に自供するけど、なぜ完落ちではなく、半落ちなのか?アルツハイマーを発症した妻を殺害して、自首するまでの二…

思ってたのとかなり違うけど…帚木蓬生著『襲来』

襲来 上 (講談社文庫)作者:帚木蓬生講談社Amazon襲来 下 (講談社文庫)作者:帚木蓬生講談社Amazon■大映映画『日蓮と蒙古大襲来』を観て、なんとなく気が行かないところがあり、補完する意味で小説を読みましたけど、ちょっと思っていたのと違いました。かなり…

佛田洋著『特撮仕事人』より:『千年の恋 ひかる源氏物語』はポルノ大作のはずだった?!

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■佛田洋著の『特撮仕事人』は読みどころの多い書籍で、興味津々なんですが、今回は『千年の恋 ひかる源氏物語』に関する部分を紹介しましょう。■そもそも、佛田洋と特撮研究所がなぜ『千年の恋 …

「猫の血」あり〼かなりアダルトな短編集!手塚治虫著『空気の底』

空気の底作者:手塚治虫手塚プロダクションAmazon空気の底 (手塚治虫文庫全集)作者:手塚 治虫講談社コミッククリエイトAmazon空気の底 オリジナル版 (立東舎)作者:手塚 治虫立東舎Amazon空気の底 (ハードコミックス)作者:手塚 治虫大都社Amazon手塚治虫傑作選…

先生、木村武(馬淵薫)の経歴が違いますよ!川村湊著『原発と原爆 「核」の戦後精神史』

原発と原爆---「核」の戦後精神史 (河出ブックス)作者:川村 湊河出書房新社Amazon■手塚昌明の『ゴジラ✕メガギラス G消滅作戦』でゴジラが教えてくれたとおり、人類は大きすぎるエネルギーを制御することはできない、あるいは制御しきれない大きなエネルギー…

わが青春の内灘闘争?五木寛之著『内灘夫人』読みたいなあ…

今週のお題「読みたい本」■先日、五木寛之の『内灘夫人』という小説のことを知りました。浦山桐郎の『非行少女』が内灘闘争を背景としていたので、なにか内灘闘争について書かれた本がないかなと探っていると、まさにぴったりな小説があったというわけです。…

黒岩重吾著『西成山王ホテル』

西成山王ホテル (ちくま文庫)作者:重吾, 黒岩筑摩書房Amazon■かねてから読みたかった黒岩重吾の『西成山王ホテル』を読んだ。1965年ころに1955年くらいの時期の西成地域の情景を描いた小説でその後単行本が出ているけど、この短編集から2本の映画が製作され…

佛田洋著『特撮仕事人』より『茶々 天涯の貴妃』での大失敗とは?

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■その昔『茶々 天涯の貴妃』という東映時代劇の大作があったんですが、みなさんご存知でしょうか。知る人ぞ知る映画ですね。■どこから湧いて出たのか、ちょっと謎の企画で、当然のようにヒット…

社長、特撮研究所の後継者はどうします?でも佛田洋の偉業はギネス級!『特撮仕事人』

特撮仕事人 (マーブルブックス)作者:佛田 洋中央公論新社Amazon■変なタイトル書いてしまいましたが、他意はありませんよ。純粋に佛田洋の特撮演出が大好物なだけで。いやほんとに佛田洋凄いと思うんですよね。こんなに長期にわたってずっと現役で特撮監督や…

【ネタバレ有〼】黒岩重吾の短編集『西成山王ホテル』と大映映画『やくざ絶唱』について

■増村保造の『やくざ絶唱』が原作モノで、黒岩重吾の短編「崖の花」という短編が原作であることや、「西成山王ホテル」という短編集に収録されていて、しかも近年再刊されて結構売れているという経緯はつい最近知ったことです。■映画についての記事は以下に…

黒岩重吾の短編集『西成山王ホテル』と日活映画『落葉の炎』について

■以前に日活映画『落葉の炎』については以下の記事で残念作と評したところですが、ずっと気になっていた原作短編を読んだので、その比較を試みたいと思います。念のためもう一度映画を観てみましたが、、、やっぱり残念でしたね。良い場面もいくつかあるので…

「ぬし」は名作!誰か映像化して!手塚治虫の『ザ・クレーター②』

手塚治虫傑作選集 (2) ザ・クレーター 2作者:手塚 治虫秋田書店Amazon■なんといっても、巻末の「ぬし」が傑作だと思います。アポロ計画の月面着陸を踏まえた異色作「クレーターの男」とか沖縄返還直後の「海の姉弟」など、時事的な作品も悪くないけど、わり…

あの「溶けた男」が入ってますよ!でも「オクチンの奇怪な体験」に感動『ザ・クレーター①』

手塚治虫傑作選集 (1) ザ・クレーター 1作者:手塚 治虫秋田書店Amazon■久しぶりに図書館に行ったので、手塚マンガを借りてきました。あまり知らない短編集ですが、さすがに名品がいくつかあります。■ベトナム戦争下の日本、紛争中の大学を舞台とした「溶けた…

意外と薄味だけど、弁太とヒノエには幸せになって欲しい『火の鳥 乱世編』

火の鳥8 乱世編(下) (角川文庫)作者:手塚 治虫KADOKAWAAmazon火の鳥7 乱世編(上) (角川文庫)作者:手塚 治虫KADOKAWAAmazon■なんとなくずっと気になっていた手塚マンガが『火の鳥』なんですが、立ち読みした限りでは、正直あまり面白そうに感じなかったので、…

怖いというよりも、読んでて結構ヒヤヒヤする『怖い村の話』

怖い村の話 (宝島SUGOI文庫)宝島社Amazon 参考 ■なかなか微妙な本を読みました。都市伝説で流布される全国の「いわくつきの地」のカタログともいうべき本で、例えば「犬鳴村」「つけび村」「売春島」「奴隷島」といった、どこかで聞いたことのあるようなオカ…

”神”は保険会社じゃないよ!偕成社文庫版『宇宙戦争』

宇宙戦争 (偕成社文庫)作者:H.G.ウェルズ偕成社Amazon■たしか小学校の頃に読んだ記憶があるけど、久しぶりに再読。偕成社文庫版は図書館に置いてあるし、字が大きいので抜群に読みやすい!子供向けというか、年寄り向けだね!■とにかくお話の視点が斬新で、…

泣きながら映画を撮る男!『映画に憑かれて 浦山桐郎インタビュードキュメンタリー』

映画に憑かれて浦山桐郎: インタビュ-ドキュメンタリ-現代書館Amazon■この本は凄いですよ。ページが約500ページあって、浦山桐郎の関係者に原一男がインタビューした本ですが、そもそも関西テレビのドキュメンタリーのためにインタビューが行われたのです。…

タマミ、おそろしい子!楳図かずおの『のろいの館』(『赤んぼ少女』)

のろいの館 (サンデーコミックス)作者:楳図かずお秋田書店Amazon■楳図かずおの『赤んぼ少女』を遂に読みましたよ。でもタイトルが違います。もともとは1967年に『赤んぼ少女』のタイトルで週間少女漫画誌に連載され、1969年に秋田書店から出すときに『のろい…

実は猛烈な円谷プロ批判の書『白組読本』

■著者の公野勉氏は平成ウルトラシリーズの頃に円谷プロに在籍していた人で、その後東北新社でプロデュ―サーを、ギャガや日活で配給を担当している人なのだが、本書ではなにかと白組と円谷プロを比較しているのが読みどころで、おもしろい。■公野氏はよほど円…

映画美術ファン垂涎、眼福の書『シネマの画帖 映画美術監督 西岡善信の仕事と人々』

■以前から気になっていた淡交社のムック本『シネマの画帖 映画美術監督西岡善信の仕事と人々』の新古本が古書店にお安く出ていたので買ってしまった。収蔵スペースの関係上あまり蔵書は増やしたくないのだが、これは図書館で借りて読むのではなく、手元に保…

東宝特撮迷走の軌跡『ゴジラ東宝チャンピオンまつりパーフェクション』

ゴジラ 東宝チャンピオンまつり パーフェクション (DENGEKI HOBBY BOOKS)KADOKAWA/アスキー・メディアワークスAmazon■『ゴジラ対メカゴジラ』の初期検討稿である『大怪獣沖縄に集合!残波岬の大決斗』が載っているのが貴重。たぶん、まだ福島正美のアイディ…

重鎮舞台俳優は特撮映画がお好き?『映画秘宝別冊 昭和メカゴジラ鋼鉄図鑑』

別冊映画秘宝 昭和メカゴジラ鋼鉄図鑑 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)洋泉社Amazon■メカゴジラは初代にかぎるということが確認できる貴重な写真満載のお楽しみムック本なんだけど、むしろ睦五朗が岸田森のエピソードを語っている記事が貴重だ。国立がんセンター…

《この本が読みたい!》『定本円谷英二随筆評論集成』

定本円谷英二随筆評論集成作者: 円谷英二,竹内博出版社/メーカー: ワイズ出版発売日: 2010/12/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る このシリーズの趣旨 このシリーズ記事の趣旨は、諸般の事情(単に懐が寂しいとか、在庫がな…

《この本が読みたい!》『昭和演劇大全集』

昭和演劇大全集作者: 渡辺保,高泉淳子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/11/24メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る シリーズ記事の趣旨 唐突ですが、新シリーズ、《この本が読みたい!》が始まります。このシリーズ記事の趣…

『被爆のマリア』

被爆のマリア (文春文庫)作者:田口 ランディ文藝春秋Amazon■田口ランディの小説は初めて読んだけど、なんだか盗作騒ぎで有名な人らしい。その事件の内容も知らないのでどこまで本当なのかも判断できないが、この短編集は読み応えがあった。筆致は非常に軽く…

小松左京著『サテライト・オペレーション』

サテライト・オペレーション (集英社文庫)作者:小松 左京集英社Amazon■古本で読む小松左京。集英社の古い短編集。個人的には「飢えた宇宙」が大好き。傑作だと思うなあ。ほんとに映画化してほしい。大好物の怪奇宇宙活劇だ。アメリカで出版すればハリウッド…

『レクイエム』

レクイエム (文春文庫)作者: 篠田節子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

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