maricozy.hatenablog.jp
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■最終的にわりとあっさりと登場人物が死んでしまうので違和感を感じるのだが、なにしろ昭和30年頃の西成釜ヶ崎、飛田、新世界界隈の生活実感に基づいた創作なので、実際に人の命は安くて、あっけなく喪われていたものだったに違いない。命の値段もいまよりずっと安かったし、簡単に死を選んだことも想像に難くない。例えば日活映画の心中物なども、死ぬほどのことではなかろうと今観れば感じてしまうが、当時の感覚としてはもっとそうした自死は身近だったかもしれない。今の尺度をそのまま当てはめてはいけないと、少し反省した。
■『やくざ絶唱』の原作「崖の花」も血の繋がりを巡って含意が深いのだけど、巻末の「雲の香り」が実に切なくて、心が痛い良いお話で、傑作。サラリーマンをしくじって逃げてきた社会の底辺でやっと人間らしい伴侶を得たはずなのに、捨てたはずの日の当たる社会への未練を東京から来た女がくすぐる。。。これこそ映画化してほしかったがなあ。そのまま石井隆や相米慎二がにっかつで撮ればよかったし、今からでも誰か撮ってくれないかなあ。ちょっと『ラブホテル』を想い出しましたよ。