映画美術ファン垂涎、眼福の書『シネマの画帖 映画美術監督 西岡善信の仕事と人々』

■以前から気になっていた淡交社のムック本『シネマの画帖 映画美術監督西岡善信の仕事と人々』の新古本古書店にお安く出ていたので買ってしまった。収蔵スペースの関係上あまり蔵書は増やしたくないのだが、これは図書館で借りて読むのではなく、手元に保有しておきたい本だったのだ。

シネマの画帖―映画美術監督西岡善信の仕事と人々

シネマの画帖―映画美術監督西岡善信の仕事と人々

大映京都の西岡善信の仕事といえば、既に以下の書籍があり、これも所有している。
映画美術とは何か―美術監督・西岡善信と巨匠たちとの仕事

映画美術とは何か―美術監督・西岡善信と巨匠たちとの仕事

さらにちょっと怪しいこんな本もあって、これは図書館で借りて読んだ。それくらいで十分。という状況だが、西岡善信の実際の美術デザインが非常に綺麗に複写されて大きく美しく印刷されているというところに本書の存在意義があり、上記の書籍よりも見ていて楽しい。

■とにかく日本映画界が景気良かった時代の実物大セットは豪壮なもので、『地獄門』とか『朱雀門』(未見)とか『新源氏物語』とかいくつもあるんだけど、そのデザイン画を見るだけでホントにうっとりとして、晩酌が進んでしまう。東映京都で撮った『長崎ぶらぶら節』は特撮研究所が本格的に絡んだ映画だが、これは結構な大作で、美術も見事だったので、デザイン画はうれしい限り。監督の深町幸男もデザインスケッチを見て「これができると最高だけど、あくまで理想形ですね」と言っていたら、東映京都のステージに実際にそのとおりにセットが出来上がっていて感心したとか、実にいいエピソードですね!

■個人的に感激したのは森一生の知る人ぞ知る傑作『怪談蚊喰鳥』の墓地のオープンセットのデザインで、まったくデザイン画通りに作られて撮られている。しかも、映画だけ見ていると、これがオープンセットだと気づく人はほぼいない。単純に近所の実際の墓地でロケしてきたと思ってしまうリアルな美術装置なのだ。映画自体は小品なのに、ここまで美術に余裕があるというのは、この時代ならではの贅沢。墓石は実際の無縁墓を借りてきて使っているという豪気さも、いかにも当時の映画界の鷹揚さだ。

■海外との合作映画についても裏話があって、コーエン兄弟の『白い海へ』はブラッド・ピット高倉健が共演予定だった有名作だが、9・11テロの影響で中止となっている。ロジャー・ディーキンスが撮影監督だったので、ほんとに惜しいことだ。きっと敬愛する宮川一夫みたいな照明で撮ったはずだよ。

参考

maricozy.hatenablog.jp
思い出した。図書館で借りて読んでいたのだった。
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大映京都の映画美術でもう一人の巨匠が内藤昭。大魔神のデザインもこの人の手による。この本のほうが先に出ているが、映画美術に関するとびきりの名著。でも、現在は入手不能なようだ。

映画美術の情念

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