「猫の血」あり〼かなりアダルトな短編集!手塚治虫著『空気の底』

■非常にタイトにまとまった「処刑は3時に終わった」「ジョーを訪ねた男」「夜の声」「グランド・メサの決闘」「猫の血」「電話」などが個人的には傑作だと思う。

■「処刑は3時に終わった」は、いろんな短編集に入っている有名作だけど、「アウター・リミッツ」などでも有名な時間静止の趣向。確かに良いですね。

■「グランド・メサの決闘」はアメリカの西部劇に実際あるんじゃないの?というお話で、出来すぎた傑作。見事な構築。

■化け猫と核戦争が綯い交ぜになった「猫の血」は常人では考えつかない発想で、これも他の短編集にも収録された有名な異色作。まさに「奇妙な味」といえる。自信満々な最終コマ。

■「電話」なんて、最後の捻りとしてはよくあるパターンだけど、実に気持ちよく構成された秀作で、学生運動盛んなりし頃の時代色もいい味。ホントに当時の新聞では毎日、学生運動とか過激派に関する記事が載っていたんですよ!信じられる?時代の雰囲気をリアルに再現して実写化してほしいけど、まあ無理ですね…

■それにしてもやたらと近親相姦のお話が多いのはなんでしょうね。手塚治虫の趣味なのか、この当時流行っていたのか?流行っていた節もあるよなあ。なんで?

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