【ネタバレ少】与えておいて奪うのか?踊る殺人AI人形出現!『M3GAN ミーガン』

M3GAN/ミーガン(字幕版)

M3GAN/ミーガン(字幕版)

  • アリソン・ウィリアムズ
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基本情報

M3GAN  ★★★
2023 スコープサイズ 102分 @イオンシネマ京都桂川

あらすじ

■おもちゃメーカーの研究者ジェマは、両親を事故で亡くした姪っ子を引き取ったが、キャリア志向で子どもの面倒を見きれない。秘密裏に開発中のAI人形ミーガンにおもりをさせるが、彼女はジェマよりも巧みに子どもの心を掴んでいった。。。

感想

■ブラムハウスとジェームズ・ワンがタッグを組んで、でも予算規模はいつものブラムハウス・ホラーと大して違わないSFホラー。なにしろ撮影もニュージーランドで行っている。安いからね。

■ブラムハウスメソッドにしたがって、基本的にはジェマの家を主舞台にしているので、クライマックスも狭い家の中。自分の決めたルールを忠実に守って、予算規模も無駄に拡大しないように厳格にコントロールされている。商売上手!

■期待通りに『ターミネーター』だったり『チャイルド・プレイ』だったり『フランケンシュタイン』だったりするので、お話の展開に意外性は少ないけど、要所要所の見せ場を外さないのは立派だし、劇伴も秀逸だし、既成曲をうまく使うのはアメリカ映画のお得意な手法で、効果絶大。ジェラルド・ジョンストンという監督はニュージーランドの人で、初めて観たけど、全く危なげがないね。脚本はあの怪作『マリグナント』を書いたアケラ・クーパーで、今回は奇想は少なめで、着実にサスペンスを積み上げる。これも全く違和感がない。でも、殺人マシンが人間の可動域を超えた変な挙動で襲ってくるというアイディアは一緒かも。

■とにかくミーガンのデザインとキャラクター造形がたまたま見事にキャッチーなイメージに結実したことが僥倖だった。演じるのはニュージーランドの子役でエイミー・ドナルドという子ども。なにしろ人形なので表情の演技ではなく、身体の動きが全てで、メソッドとしては『リング』とか『呪怨』の幽霊の表現を引用している。が、まあそれだけでなく、いろんな芸を見せるわけで、身体能力が凄い。徐々に狂気をはらんでくるあたりの、表情のない表情の怖さを的確に表現したのは演出の腕だろうけど、最後には期待通りにあんな展開になるので、アメリカの映画館では拍手喝采だったはず!

■もうひとつのこの映画の美点は、バイオレット・マッグロウという子役が不安定な精神状態にある子どもをリアルに演じているところで、ミーガンに親しんでいって、分離不安にとらわれるまで依存するに至る心の変化の過程をしっかり演じるから、空想的なお話にすんなりと感情移入させる。このあたりは、脚本も演出も演技も上出来でしょう。

■ただ残念なのはミーガンの最終的な決着について、完全に怪物として突き放して終わることで、そこは例えば『鳥人戦隊ジェットマン』のG2なんかのほうが次元の高い寓話になっている。まあ、『フランケンシュタイン』と違って生命を与えられたわけではないので、造物主に対する問いかけにはならないのだけど、AIが発達して知性と意識を持ってしまうと、それは命を持っているのと何が違うのか問題が生じてくるはず。想像するに、このあたりは脚本にはもう少し描写があるんだけど、続編を意識してあっさり終わるようにアレンジしたのではないか。もちろん邪推ですが、ソフトの特典に入ってないかな?→すでにパート2の製作が決定したそうです。


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■ちなみに、制作背景の詳細は、以下の記事に詳しい。メイキング映像もみてみると、CGの使用は控えめで、昔ながらのSFX的なフィジカル・エフェクトで撮られていることが分かる。
www.rm2c.ise.ritsumei.ac.jp

参考

『マリグナント』はブラムハウスは参加してませんね。
maricozy.hatenablog.jp
ミーガンでは”不気味の谷”の怖さを狙ったが、そこはこの映画のタマミの方がずっと怖い。
maricozy.hatenablog.jp
ブラムハウス映画は花盛り。みんな低予算映画だよ(ハリウッドでは)
maricozy.hatenablog.jp
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