なんだ、これは?の80年代風イケイケ☆カルトホラー『マリグナント 凶暴な悪夢』

基本情報

Malignant ★★★
2021 スコープサイズ 111分 @DVD

感想

ジェームズ・ワンはなんといっても活劇の人なので、『死霊館』だって切れの良いカッティングで恐怖の怪異現象も痛快に見せる人なのだが、本作はなぜか80年代のポップでぐちゃぐちゃなホラー映画をオマージュする。映像設計も80年代風で、スモークに原色の照明が照り映えて、部屋の中には向かいの建物の赤いネオンの光が満ちる。もちろんレンズは広角だし、おなじみジョセフ・ビシャラの音楽も電子音楽だったりする。

■お話は詳しく書けないが、主人公の身の回りで起こる怪奇現象の原因は何か?ということで、そこは定石通りの導入。ただ、怪奇現象は心霊現象ではなく、醜い連続殺人鬼の殺害現場を主人公が幻視するというもの。その理由は何か?そこに何の因果が?

■その謎解きも、なんとなく察しはつくのだが、その後の映像展開が想像の斜め上をいくので、観客は皆あっけにとられて笑い出すに違いない。きっとアメリカ公開では大爆笑、拍手喝采で観ていただろうね。まあ、謎解きのひどさも80年代の無軌道ホラー、スプラッター風だし、その後の飛躍した無茶な展開も、昔のサム・ライミの弾けた勢いを想い出すよね。残虐ホラーなのに、やりすぎてコメディに転化する作風も含めて。ただ、生真面目な(?)ホラー映画ファンは不謹慎だと怒るかもしれない。

■え、自分はどうだって?先日観た『ブライトバーン』といい、正直なところちょっとジャンルが混乱気味だと感じますよね。これもコロナ禍の一種なのかもしれないけど。ハリウッド、大丈夫か?


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