グレイス・ジョーンズ、圧巻の怪演!『キング・オブ・デストロイヤー コナンPART2』

基本情報

Conan the Destroyer ★★
1984 スコープサイズ 101分 @DVD

感想

■『コナン・ザ・グレート』の続編で、もともとジョン・ミリアスは三部作を構想していたが、なぜか第二作は監督がリチャード・フライシャーに変更されている。製作のラウレンティスとは昵懇だったので、ジョン・ミリアスではお金がかかりすぎるので、サクッと効率的に撮ってよと起用したのではないかな。前作はもともと東欧ロケの予定が政情不安でスペインに変更された経緯があるが、今回はメキシコロケとなったので、舞台となる情景も大幅に異なる。そして第三作はいまだに製作されていない。

■女王タラミスからジェナ姫を守ってダゴスの角を手に入れれば、魔術でヴァレリアを蘇らせてやると言われたコナンは素直に冒険の旅に出るが。。。というお話で、いかにも剣と魔法の物語らしく単純化されていて、ジョン・ミリアス版のようなニュアンスや豪快なロケ撮影の醍醐味は少ない。

■氷の城の怪物とのアクションとかクライマックスで蘇った怪物ダゴス(ダゴンじゃないよ。ラブクラフトの影響もあるよね)との格闘など、当時の水準としても明らかにきびしくて、SFXというよりも60年代特撮のテイスト。ロケ撮影にミニチュアを持ち出して、生合成してしまうテクニックは前作と同様で、ここだけは非常に上出来で、太陽光で陰影もマッチするし、画調の劣化もないので合成とわからないし、ほぼ完璧な仕事。

■いかにも残念なシーンも多いけど、秀逸な場面もいくつかあって、ロケ撮影のいくつかは黒澤明みたいだよ。撮影は名手ジャック・カーディフだしね。特にグレイス・ジョーンズが怪演する女戦士ズーラはとにかくソウルフルかつノリノリの演技で観ていて愉しい。男を誘うときにはどうすればいいの?とヒロインに問われて、ガッと引っ掴むんだと身振りで返答する場面はサイコー。前作の女盗賊ヴァレリアの描き方も秀逸だったけど、今回もキャラクターとしては活き活きしていて、終盤でもっと活かしてあげないとい勿体ないよね。ちゃちな怪物いらんから。

■ちゃんと本作もマコ(名優ですよ)が出ていて、監督の意向としてコミカルな描写が増えているし、ホントに適当に魔術使わせたりして失笑を誘う。また監督はシュワが主役なんだからもっと脱がないとね!とほぼ全編半裸としたのは、観客のニーズ優先で、さすがは職人監督。しかも、映画監督に一番重要なのは、役者とコミュニケーションすることだから、映画学校じゃなくて演技学校で学ぶべきとアドバイスする始末。確かに自分も演技学校出身なんだよね。知らんかったけど。それなら、ジェナ姫にもう少し演技指導しろよと全世界の映画ファンから突っ込まれましたとさ。リチャード・フライシャー、掴みどころのない天然職人監督。時々乗りで凄い映画撮るけどね。

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