スコット・デリクソンの青春スリラー『ブラック・フォン』

基本情報

The Black Phone ★★★
2022 スコープサイズ 107分 @アマプラ

感想

■1978年のコロラド州デンバー。連続少年誘拐事件が起きるなか、主人公フィニーが仮面の男に拉致される。地下室には黒電話があり、突如着電する。電話線は切られているのにだ!

■久しぶりに観たブラムハウスホラーで、お馴染みの「家」を舞台とした低予算映画。脚本と監督もスコット・デリクソンなのでおまかせモードで安心して観ていられる。今回はホラーというよりも、サスペンススリラーといった方がふさわしく、死者からの電話が着電するものの、そこはむしろファンタジーに近い感じ。スコット・デリクソンがマジで怪異を描けばもっと硬派なホラーになるから。

■本作は少年の成長を描く青春映画として構成され、主演のメイソン・テムズも含めて登場する少年たちがみな美少年という変なこだわりは監督の趣味だろうか。普通のアメリカ映画の配役ではないよね。妹が霊能者というありがちなお手軽な設定もスコット・デリクソンが描くと、地に足がついているから偉い。普通はご都合主義になるところだけど、なにしろ監督が真正のオカルト映画『エミリー・ローズ』を撮った男だから、霊視能力の肌合いがナチュラルだね。(しらんけど)少なくとも、サスペンスが効いているから合格ですよ。

■仮面の男をわざわざイーサン・ホークが演じているのも異様で、よほどスコット・デリクソンと意気投合したのか?特に複雑な設定もなく、その意味では工夫のしがいがあるとも言えるけど、脚本に描かれていないことは表現できないので、存在感一発勝負って感じですね。それは演技者としての自信のゆえなのか?

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