ビジョン 暗闇の来訪者 ★★★☆

Visions
2016 スコープサイズ 86分
DVD

ヴィジョン/暗闇の来訪者 [Blu-ray]
■古いワインセラーに引っ越してきた妊婦が屋敷内で数々の怪奇現象に遭遇するが...というホラー/スリラー。ブラムハウスの製作なので低予算だが、ワイン栽培家という珍しい設定で新味がある。例によって呪われた屋敷ものなのだが、ちゃんと差別化が図られていて、トレードマークのショック演出で要所要所を引き締めらながらサスペンスを醸成してゆく手堅い作風。すっかり、ブラムハウススタイルとして定着した感じだ。
■監督は『ジェサベル』も良かったケヴィン・グルタートで、もともとは『ソウ』シリーズで編集をずっと務めていた人だが、監督に起用されて以降、編集も兼務しながら案外こだわりの演出を見せる才人。本作もタイトに良くできた脚本をもとに、デジタル撮影ながら、フィルム撮影を擬したルックを見せる。
■屋敷での怪異現象は妊婦のノイローゼだと誰も取り合わないというサスペンス展開から、終幕でのキレイな謎解きまで、全く無駄がなく、語り口に淀みがない。これが典型的なハリウッド大作なら、いろんな営業的な要素が加わって特に終幕が冗長になりがちだが、ブラムハウス作品にはその心配が全くないのが凄い。昔の2本立て興業のB面のスリラー映画といった小品。実質的には75分くらいの映画。
■考えてみれば、『世にも不思議な物語』にもありそうな不思議現象を描いた映画で、スターも出ていないので確かに単独でヒットを狙える興行力には欠けるだろう。ティーンエージャーがキャーキャー言いながら観る映画でもなく、結構大人向きの不思議映画。ほんとによくできてます。

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