ゲゲゲの鬼太郎 ★☆

ゲゲゲの鬼太郎
2007 ヴィスタサイズ 103分
DVD
原作■水木しげる 脚本■羽原大介、本木克英
撮影■佐々木原保志 照明■牛場賢二
美術■稲垣尚夫 音楽■中野雄太(TUCKER)
VFXスーパーバイザー■長谷川靖
監督■本木克英

■あまりにも子供だまし一直線なので、本当は何も書く気もしない代物なのだが、備忘として記録しておく。フジテレビが参加し、松竹が企画、製作した正真正銘の松竹映画だが、松竹のもっとも苦手とするジャンルであり、しかも監督は松竹生粋の本木克英だから、映像的なセンスの無さは唖然とするばかりで、三池崇史の「妖怪大戦争」が傑作に思える。

■いちばんの欠点は、製作者に妖怪に対する愛情が一切感じられないことだ。「妖怪大戦争」には、まだしも妖怪という民俗的存在に対する畏怖の感情や愛着が備わっていたが、本作では特殊造形にしてもCGにしても、そうした気配が見事に全く無い。

■しかも、香港のセントロピクチャーズを含む多数の映像工房に分割発注したCGの安いこと安いこと、ギャグにもなっていない。一反木綿に乗って宙を駆ける場面のデジタル合成など、25年前の東通ECGシステムかよ!と、全国で1万人くらいは突っ込みを入れるだろう。他にもビジュアルに関する圧倒的なセンスの無さは、それはもう凄まじいもので、映像制作に関して苦手分野には迂闊に手を出さないほうが無難という教訓を得ることができる。本来、松竹は企画と配給をして、制作は独立プロダクションに任せればよかったのだ。また、特撮映像の品質については、VFXスーパーバイザーが軌道修正なり、チェックを行うべきところだが、美的センスは持ち合わせなかったようだ。

田中麗奈の、自身の全キャリアをなげうつ覚悟の捨て身の猫娘は、端的に言って気の毒なほどだ。超ミニスカートの似合わないこと!というか完璧に子供体型じゃないか!ある意味で、プロ根性に畏敬の念を覚えないでもないが、そのプロ根性は正しいところで発揮すべきだよ。

© 1998-2024 まり☆こうじ