うーんサルトルぽいなあ…いや違う!『 シークレット・オブ・モンスター』

基本情報

The Childhood of a Leader ★★
2015 ヴィスタサイズ 116分 @アマプラ

感想

■第一次大戦後のフランス、ヴェルサイユ条約のネゴに来た米国高官の一家に、少女のように美しい少年がいた。特有の癇癪を積み重ねて、彼は神を否定しはじめる。。。

■サルトルの「一指導者の幼年時代」という小説を原作としているけど、実際はほとんどオリジナルに近い。ブラディ・コーベット&モナ・ファストボールドが脚本を書き、ブラディ・コーベットが監督した。演出も、映像も完全に欧風なタッチになっていて、しかも、いやあいかにもサルトルの作劇ぽい通俗性だなあ!と思った展開が、オリジナルだったりするので、ギャフンだ。

■プレスコット少年を演じるトム・スウィートが『ヴェニスに死す』並に退廃的で良いのだけど、その意義がよくわからない。一番問題は、最終的な着地であって、正直がっかりする。あまりにもありきたりなのだ。子どもの邪心を描く心理ホラーとしてはそれなりにできが良いのだけど、その着地点はある意味容易に想像できるので、その先?の追求、深耕がないとどうしても陳腐に見える。劇的に突き抜けていない。

■むしろ、冒頭近くで語られる、人は一人では悪をなせないが、大衆は容易に悪をなすことができるという台詞のほうが印象的で、これは原作小説にあるのだろうか。むしろ、こちらをテーマに物語を構築したほうがいいのになあ。「集団(集合体)になると、個人の意図とは無関係に悪(あるいは非人間的な結果)が生まれる@AI」とか、ハンナ・アーレントの「悪の凡庸さ」(「悪事は怪物のような異常な人物だけが行うのではなく、思考を放棄した平凡な人間によって、どこでも起こりうる」@AI)の指摘とか、そっちを追求すればいいのに。


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