僕の彼女はサイボーグ ★★☆

僕の彼女はサイボーグ
2008 スコープサイズ 120分
TOHOシネマズ二条(SC2)
脚本■クァク・ジェヨン
撮影■林淳一郎 照明■金沢正夫
美術■丸尾知行 音楽■大坪直樹
VFXプロデューサー■浅野秀二 VFXスーパーバイザー■立石勝
監督■クァク・ジェヨン

■お話は、皆様の想像通り、ドラえもん最終回のバリエーション、山崎貴の「ジュブナイル」でもお馴染みのあれですわ。ちょっと一ひねりを加えているが、お話自体は誰でも思いつきそうな代物である。台詞も監督が韓国語で書いたものを直訳しているので、往年の大映テレビのように生硬でこなれていない。

■この映画が、2時間あまり成立するのは、ひとえに綾瀬はるかの若さが発散するオーラによるところが大きい。監督の狙いも、綾瀬はるかをエロく、そして可愛く撮るというワンテーマに集約されている、完全なアイドル映画である。特に綾瀬はるかのファンでもないし、”巨乳”にも興味は無いが、なぜか得した気分になるのは何故だろう。綾瀬はるかの名刺代わりの映画としては満点ではないか。

■しかも、そのギャグセンスの猥雑さと下品さは、なぜか東南アジアテイスト、あるいは鈴木則文テイストと言ってもいいだろう。あるいは香港映画テイストともいえる。その理由は劇場で観て驚嘆していただきたい。1800円払えとはいわない。私だって、1000円の日だから観る気になったのだ。これは60年代に東映でアイドル映画を作ると、どうなっていたか?という大胆なシミュレーション映画である。クァク・ジェヨンは韓国の鈴木則文か?

■クライマックスで東京大震災が勃発し、VFX大作であることが判明するのだが、VFXはリンクス・デジワークスが担当。ところがカットによってかなりバラつきがあり、予告編にも登場するビルの大崩壊カットなどは、相当に無理がありアニメ的。マット画にしても「ドラゴン・ヘッド」のほうがリアルだったし、同じリンクス・デジワークスが担当した「ありがとう」の震災シーンのリアリティは無い。アニメ効果にしても、日本では第一人者の日本エフェクトセンターが参加していないので、明らかに下手。ひとつ感心したのは、先日の「山のあなた」でデジタル処理を実施したカットの画調が明らかに乱れていたのに、本作は撮りきりのカットとの違和感がほとんど無かったこと。撮りきりのカットにも、かなりのカラーコレクション等が施されていたということだろうか。

■あまり一般人には薦められない(品性を疑われる)が、アイドル映画の醍醐味をのんびりと鷹揚に味わうには悪くない映画だし、綾瀬はるか入門としては絶好の映画である。

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