VFXは酷いけど意外な良作!人類は護るに値する存在か?『ワンダーウーマン』

基本情報

Wonder Woman ★★★
2017 スコープサイズ 141分 @アマプラ

感想

■女だけの秘島でプリンセスとして育ったダイアナは、次元の違う世界で第一次世界大戦が戦われ、ドイツ軍の秘密兵器で大量虐殺が行われようとしていることを知ると島を出る決意を固める。。。

■なんで今さら観ているかと言えば、第二作『ワンダーウーマン1984』の悪役にクリステン・ウィグが出ていることを知ったからなんだけど、実際のところ、映画を見はじめて2分くらいで一度挫折している。アマゾネスの島セミッシラのVFXがあまりにひどかったからだ。

■超大作のはずなのに、CGとかアクションの見せ方は、ビデオゲーム映像かと見紛うばかりの質感の低さ。全体的にVFXのレベルは妙に低いのだけど、メインのVFX工房はダブル・ネガティブなのが信じられない。もちろん、たくさんのVFX工房に下請けに出しているわけだけど、今どきこのクオリティでいいのか?監督のパティ・ジェンキンスはこうした独特のビジュアルとかアクションの見せ方にこだわりがあるタイプではないだろうから、VFXスーパーバイザーとかアクション監督に任せきりにしたのではないか。いや、任せきりでもしかるべきスタッフなら仕上がりも良いはずなのに、どうしたの?

■なので途中で観るのやめようかと何度も思ったけど、舞台がロンドンに移ってからやっと映画らしくなってくるし、休戦協定が進む中、強力なマスタードガスの開発を成功させた気狂い将軍&毒ガス博士の悪巧みを粉砕するために独立愚連隊を結成してベルギーの最前線に乗りこむあたりは活劇として定番の面白さ。

■しかも最前線での戦場の惨禍や苦しむ無辜の婦女子たちや、疲弊する無垢な牛馬たちの姿にすら同情して、ダイアナが小さな村落をドイツ軍から開放する決意をするあたりの泣かせる展開や、最前線での鬼神の如き大活躍のあたりはVFXのショボさを忘れて燃える展開で大健闘する。戦場の悲惨な実情の部分は本当ならもっと短くインパクトの強い見せ方ができたと思うが、そこはかなりソフト路線。でも神の世界に属するダイアナが人間の本性を垣間見て義憤にかられるエピソードはこうしたヒーロー(ヒロイン)活劇には欠かせないところで、終盤のテーマ性にも関わってきて、実に王道の展開を見せるから、感心した。

■毒ガス部隊の秘密基地シーンはラスボスとして破壊神アレスが正体を表すが、そこはVFXも見飽きた趣向しかなくてあまり冴えない。でも、争いを本性として、いずれ放っておいても絶滅するに違いない人類を護る意味はあるのか?という神々の問いが真面目に語られるのは、思いがけず感動的だった。それに並行して、スティーブの泣かせる自己犠牲(僕は今日を守る。君は世界を守れ!)による毒ガス爆弾の阻止が描かれて、ちゃんとメロドラマも成立しているし、それでも人類を護る意義はあるという結論にいたるまで、実にどうも上出来なのだ。結論の雑駁さも含めて、懐かしい気がしたよ。アメコミ映画はいくつか観ているけど、新奇なビジュアルではなくて、テーマ設定とメロドラマのマリアージュとして、上出来な部類だと思うな。いや、素直に感心しました。

参考

maricozy.hatenablog.jp

アメコミ映画は最初の頃日本では全くヒットしなかったけど、それ以外のアメリカ映画が絶滅してしまうと、自然とドル箱路線になってしまった。日本だけの話じゃないけど、グローバルにエグい商売。
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