やくざ対妖怪!なのに冴えない『東海道お化け道中』

基本情報

東海道お化け道中 ★★
1969 スコープサイズ 78分 @アマプラ
企画:八尋大和 脚本:吉田哲郎、浅井昭三郎 撮影:今井ひろし 照明:黒川俊二 美術:西岡善信 音楽:渡辺宙明 監督:安田公義、黒田義之

感想

大映の妖怪シリーズ最終作だけど、さすがにきびしい出来栄えだし、肝心の妖怪もあまり登場しないし、特撮的な見せ場もほとんどなくて、なぜ黒田義之がわざわざ関わっているのかも不思議なほど。

■やくざの抗争に女の子が巻き込まれ、生き別れの父親を求めて旅をするが、悪いヤクザがつきまとい。。。というお話で、観に来た子どもたちもなんでやくざモノを見せられるのか疑問に感じただろう。本郷功次郎は主役だけど型通りの役でおいしいところがないし、妖怪たちも活躍しない。

■見どころは裏切りやくざに落ちぶれた戸浦六宏の改心のくだりで、これも超古典的なお馴染みの作劇だけど、出番が多いのでちょっと嬉しい。この時期創造社ユニットは大映と提携して脇役や主役で出演しているけど、本作も一番の儲け役は戸浦六宏。そういえば『妖怪大戦争』でもナレーターだった。この時期、ナレーター仕事も多いのだ。でも、本当なら極悪人を演じて、妖怪たちと死にものぐるいで戦って狂死してほしかったなあ。

■ただ、安田公義が監督だし、今井ひろしキャメラなのでオーソドックスに広めの画角に構えた堅牢な構図で非常に重厚。まあ美術セットは座頭市などの使い回しも多かっただろうから低予算は明白だけど、西岡善信が美術担当だし、貧相ではない。というか、無駄に豪華に見える。


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