影を斬る ★★★☆

影を斬る
1963 スコープサイズ カット版
KBS京都録画
脚本■小国英雄
撮影■武田千吉郎 照明■加藤博也 
美術■西岡善信 音楽■斎藤一郎
監督■池広一夫

 コメディ時代劇の傑作。嵯峨三智子が二役を演じて雷蔵演じる武士を発起させるシチュエーションコメディだ。

 池広一夫の演出も冴え渡り、市川雷蔵の二枚目半のグータラ侍ぶりも清々しい。小国英雄の脚本も冴えており、駄洒落も混ぜながら切れ味のいい台詞が素晴らしい。初夜に嵯峨三智子に巴投げを食らって、障子を突き破って吹き飛ぶという名シーン(?)も強烈。

 しかし、そんな軽妙な映画でも大映京都の画作りは重厚至極で、主人公の豪壮な屋敷の零落した様子を描き出す家財、調度の重厚な質感は贅沢このうえないし、極端に荒廃した大広間のフルショットなど、全画(多分、渡辺善夫の作画だろう)で描き出す。この美術装置の面構えを現在生み出そうとすれば、大作仕様になってしまうだろう。BS2あたりで、ノーカットで放映希望。

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