先行き不安な死霊館ユニバース『死霊館のシスター』

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アナベル 死霊人形の誕生』でも好評だったこの構図が頻出する!

基本情報

THE NUN ★★☆
2018 スコープサイズ 96分 @Tジョイ京都

感想

■お馴染み死霊館ユニバースの新作。死霊館本線ラインはかなり脚本がしっかり作りこまれているので夫婦映画、家族映画として安心して観ることができますが、傍系ラインはドラマの作りが緩くて、ドラマというよりアトラクション映画として棲み分けをしているのかもしれないと漠然と考えていますが、本作はどうだったでしょう?

■1952年、ルーマニアのカルタ修道院で修道女が自殺した真相を探るためバチカンから派遣された神父と修道女見習のコンビが修道院に侵入するが・・・というちょっとわくわくする筋立てで、村人たちがあの修道院は悪の元凶だと憎んでいたりする設定もうまく使えば盛り上がるのに、さすがはお馴染みゲイリー・ドーベルマンの脚本だけあって、ドラマを見せてくれませんよ。クライマックスは村人たちが松明を掲げて悪魔の修道院に殴り込みかと期待させて、そんなことは起こりませんよ。ちぇ。

■そもそも、最初の夜の墓地(?)でのあれこれというシーンはまるまる不要ですよね。ドラマが全く進展しないから。ゲイリー・ドーベルマンの脚本って、シーンの整理が不十分というのが特徴で『アナベル 死霊人形の誕生』なども同様だった。普通、ハリウッドの映画では脚本がブラッシュアップされるなかで解消されるはずなのに、おかしいなあ。やはり、アトラクションとしての見せ場重視ということだろうか。

■早く修道院の修道女たちとの交流が描かれればドラマが転がるのに、それが遅い遅い。タイッサ・ファーミガが現地の悪魔に侵された聖職者たちと触れあうところがドラマの仕込みどころなのに不十分。おかげでサスペンスも生まれない。『アナベル 死霊人形の誕生』で評判だった(?)マキシム・アレクサンドルの撮影が頑張っているのはわかるけど、同じようなランタンや蝋燭を掲げたナイトウォークの場面ばかりで、変化をつけるのにも苦労しているようだ。このあたりも、もっと整理すればいいのに。雰囲気的には古城を舞台とした60年代のイタリアン・ホラーに似ているので基本的には楽しいのだが、本来ならもっと良くなるはず!

■ただ、悪魔ヴァラクとの対決の決着にちゃんと伏線が張ってあるのは偉い。しかも、いわゆる「布石」ではなく、ちゃんと伏した「伏線」になっている。この工夫だけはゲイリー・ドーベルマンの功績と言える。

■悪魔ヴァラクのルーツはクトゥルー神話とつながりがあると楽しいなあと思うのだが、もともとの死霊館本線ラインが実録映画の体なので、そこまでは突っ込んでくれない。監督はあの『ハロウ 侵蝕』のコリン・ハーディですね。う~ん、さもありなん。

参考

コリン・ハーディの前作ですけど、う~ん、という出来栄えでした。
maricozy.hatenablog.jp