The Conjuring
2013 スコープサイズ 112分
DVD
■あのアミティビル事件を調査した実在の心霊研究家の夫婦が最も邪悪な事件と認定した悪魔憑き事件をジェームズ・ワンが映画化した本作、実録映画とはいいながら描写はどちらかといえばアトラクション的な表現になっている。そこはジェームズ・ワンなので仕方ないわけだが、意外にも快作となっている。その勝因は、心霊研究家夫妻と呪われた家に住む一家の二つの家族の物語として構成したチャド・ヘイズとケイリー・W・ヘイズによる脚本の構想の巧みさによる。
■心霊研究家夫妻をヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンが演じてプロフェッショナルとしてのリアリティを感じさせるし、夫婦の気遣いなども地に足がついた描写となっている。この実在の夫妻の描写が成功しているのが本作の美点。悪魔祓いを一人で引き受けて、妻は避難するように指示する夫に、私たちはこの時のために結ばれたのよ!THIS IS IT!と応える妻の心意気はこの映画の白眉といえる名シーン。パトリック・ウィルソンの好漢ぶりが素晴らしく、映画の感情的な説得力に大きく貢献している。ヴェラ・ファーミガが少し役不足の感があるが、まあこの二人の夫婦感のために少し抑え気味な芝居をしているようだ。クレジットではトップなのに、自分の居場所をわきまえた演技は、さすがの貫禄ですね。
■ジェームズ・ワンの心霊演出には新味は全く無くて、どちらかといえばこの人アクション映画の人ではないかと思う。本作では「恐怖シーンは少なめなほうが効果的なのだ」と主張したそう。そこはよく分かっているのだ。