韓国映画『箪笥』のリメイク作『ゲスト』は知られざる小傑作だった!

ゲスト [DVD]

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基本情報

THE UNINVITED ★★★★
2009 ヴィスタサイズ 87分 @DVD

感想

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韓国映画『箪笥』のハリウッドリメイクで、監督はザ・ガード・ブラザーズ、脚本は『ゴースト・ライト』で脚本、監督を兼ねて趣味のいい怪談スリラーを撮ったクレイグ・ローゼンバーグがメインで書いている。日本では劇場公開されず、微妙な評判しか聞かない本作ですが、なんのなんの、小品傑作ですよ。脚本、演出、音楽すべてが非常に筋が良いし、趣味が良い。
■最愛のパパの後妻の座におさまろうとしているお色気熟女は、病気の母を事故にみせかけて殺した犯人ではないのか?という疑惑に取り付かれたヒロインは、件の熟女の素性を探るうちに・・・という昔からいくらでもあったようなお話ですよ。ラストにはツイストが用意されていますが、まあ、普通早々に気づきますよね。これも過去にいくらでもあった趣向。もちろんオリジナルの『箪笥』がそうだったわけだし。
■しかし、そうしたお馴染みのお話を物語る演出の手際の良さが出色で、死んだ母親が亡霊となってヒロインに何かを訴える場面など、怪奇表現も非常にシンプルながら的確。ずるずる這ってきた黒い塊が徐々に立ち上がるだけで異様に怖いし、さらにキャメラは大きくパンアップして怪物の指差す手に寄っていく。そこに「MURDERER!」と叫ぶ声が!見事な演出。ぼろぼろの怪物(お母さんですけど)の怖さだけでなく、ドラマ演出になっているところがこの兄弟監督のえらいところ。恐怖だけでなく、謎解きの説明だけではなく、登場人物の、ドラマの、感情表現を伴って描かれる。
■あとから考えると必ずしもフェアな描き方ではないのは、これもこの種の映画ではありがちなことで、あげつらっても仕方ない。それよりも、ザ・ガード・ブラザーズのVFXに頼らない怪異描写の秀逸さを堪能すべき。音楽がクリストファー・ヤングということもあり、怪奇的抒情と感情表現と絶妙のメリハリが、心理的スリラーとしての本作を実に的確に描き出す。そうそう、演出のタッチがデ・パルマに似てるんだな。デ・パルマが撮ればもっとフェティッシュで過剰になったろうが。
■そして、クレイグ・ローゼンバーグの独壇場である怪談趣味の導入が本作の肝で、亡霊に導かれて彼らの墓を発見するという定番の怪奇映画的趣向も満点の風味。そして、本作のもう一人の主要人物が絶妙に絡み合う終盤の超展開が用意され、惨劇の終わりなのか、新たな惨劇のはじまりなのか、観客の虚を突いて唖然とさせたまま幕を閉じる。何年かぶりで、ラストで「凄い」と唸った本作、好事家にはまたとない贈り物ですよ。

参考

『ゴースト・ライト』はホント良作なんですよ。
maricozy.hatenablog.jp
韓国映画『箪笥』はこんな印象でした。リメイク作の方が好きですけど、ひねくれ者?
maricozy.hatenablog.jp

ゲスト (字幕版)

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