あの日、ディアトロフ峠で何があったのか?『ディアトロフ・インシデント』

基本情報

THE DYATLOV PASS INCIDENT
2013 ヴィスタサイズ 100分 @DVD

感想

■1959年にウラル山脈で起こった世紀の怪奇事件「ディアトロフ峠事件」の謎を探るため大学生チームが事件の現場に潜入する。しかし、「ディアトロフ峠事件」の再現のような怪異現象が彼らを襲い...

■所謂ファウンドフッテージ形式で撮られた低予算映画ですが、なぜか監督はレニー・ハーリン。製作の舞台裏は不明ですが、企画の経緯自体もいろいろと面白そうだなあ。POV映画特有のキャメラのがたつきはなくて見やすい親切仕様。ただ、普通にドラマとして撮影した方が良かったと思うよ。

■当然のことながら、ディアトロフ峠事件の真相に関する解明が描かれるわけですが、旧ソ連軍やロシア軍の暗躍はもちろんのこと、なんとフィラデルフィア実験なんて持ち出すから、病膏肓という感じ。さらにあんなことやこんな趣向もごった煮のように投入して、まあ終幕はなんというかもう、何言われても驚かないよという、まさに闇鍋状態。

■ただ、何故か『スローターハウス5』の台詞を引いて語られる、ある越境を決意する件や、彼らのある意味ロマンチックな決意を最高に無残な形で踏みにじる残酷な幕切れのあたりの発想の奇妙な情熱には、何かただならぬものを感じる。事件の被害者は巷間伝えられる9人ではなく実際は11人だったという証言もちゃんと効いているし、脚本のヴィクラム・ウィートという人は、今後なにかやらかすかもしれない。

参考

この本を読んだ方が事件の実相はよく分かるようですよ。未読ですけど!

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