メキシコから来るものは、”移民”だけではない…『ラ・ヨローナ 泣く女』

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出典:https://www.cinemacafe.net/article/2019/05/16/61578.html

感想

■お馴染みの死霊館シリーズ、というか死霊館ユニバースの最新作を劇場で見逃したので、やっとDVDで観ましたよ。『アナベル 死霊館の人形』でちょっとしか出ないのになぜか強烈な印象を残したペレズ神父が登場しますよ。
■なぜか舞台は1973年で、メキシコ移民の子供二人を保護したシングルマザーのケースワーカーだが、二人はなぜか夜の河で溺死。二人の母親が犯人とされたが、その後、シングルマザーの二人の子供が呪われる。ペレズ神父の紹介でメキシコ人呪術医からラ・ヨローナというメキシコの悪霊に憑りつかれていると知らされるが。。。
■なんといってもペレズ神父(トニー・アメンドーラ)が大活躍(?)するのが楽しい映画。当然神を信じているけど、信仰でも科学でも説明できないことは実在するという立場が明言される。トニー・アメンドーラの好演と独特の風貌があって、このキャラクターは何故か幽霊キャラよりも目立っているし、味がある。いっぽう、件のメキシコ人呪術医は元神父で信仰を捨てたのだという。
■お話の組み立てとしては非常にオーソドックスで教科書どおり。メキシコ人移民の子供を母親の虐待から救ったつもりだったのに却って死なせてしまう冒頭の展開は悪くなくて、死体検分のナイトシーンのあたりもマイケル・チャベスの落ち着いた演出ぶりでいい雰囲気。でも、お話の展開がそこから一歩も出ないので新味がない。ゲイリー・ドーベルマンの脚本よりはましだと思うが、映画のキモとなるべき怪異描写、恐怖演出がすべて平凡なので凡作という印象なのだ。ジョン・レオネッティの『アナベル 死霊館の人形』なんて怪異描写やショックシーンの演出に関しては傑作に思える。
■何故かラ・ヨローナを幽霊ではなく、怪物として描いているのがユニークで、物理的に行動し、物理的に敗北する。その様は、まるで吸血鬼のようだが、でもそれでいいのか?出現の仕方は明らかに亡霊なのに、なぜか亡霊ではなく、モンスターなんだね。ひょっとして今後の死霊館ユニバースでのキャラクター展開の都合だろうか?商売ありきですか?ひょっとして…
■お約束通りに呪術医はドアのあたりに結界を張るのだが、それは人間によって簡単に破られる。メキシコ国境に壁を構築しようという某大統領に対する批判であろう。メキシコから入ってくるのは単に物理的な移民だけではなく、その信仰や背負った怨念や因果そのものであるからだ。それは物理的な壁で防衛できるわけがないのだ。敢えて言うなら真に必要なのは霊的防衛ラインかもしれない。
■なんでも死霊館3は本作のマイケル・チャベスが監督しているらしいが、ドラマ部分はいいとして、怪異描写にはもう少し工夫を凝らさないと厳しいと思うぞ。