死霊館ユニバースも末期的?トホホな残念作『死霊館のシスター 呪いの秘密』(感想/レビュー)

基本情報

死霊館のシスター 呪いの秘密(THE NUN2) ★☆
2023 スコープサイズ 110分 @イオンシネマ京都桂川(SC12)

感想

■1956年、フランスの教会をはじめ、西欧各地で聖職者の変死事件が連続し、その異変はルーマニアから西進しつつあった。かつて聖カルタ修道院で悪魔を駆逐したアイリーンにバチカンから調査命令が下る。信仰に確信が持てない黒人の修道女が志願して同行するが。。。

■『死霊館のシスター』の続編で、フレンチーも再登場する。奇跡を信じられない黒人修道女とアイリーンがバディになるところとか、悪魔ヴァラクを封じたアイリーンが伝説の修道女として語り継がれているとか、ワクワクする道具立てが登場する序盤は悪くなくて期待させるのだけど、実は監督のマイケル・チャベスは虚仮威し頼みで全くドラマを語る気がないので、その後はグズグズになる。そもそも前作もアトラクション映画志向が顕著でドラマ性は薄かったのだが、本作は完全にアトラクション映画重視の姿勢。中盤以降、ドラマ性はなくて、薄暗い舞台設定のなかでわーわーキャーキャー言ってるばかり。

■使用人のモリース(フレンチー)が寄宿学校の少女と仲良くなってるあたりの怪しさを狙っているのかと思いきや、その母親ともいい感じで、そこに淫靡な何かを描こうとするのかというと、そうでもなく、ドラマが成立しない。そこに、昔の彼女アイリーンがやってくるので、これもいくらでもドラマを構築できるところなにに、そんな気もない。黒人修道女が奇跡の実在を認めるエピソードでさらりと泣かせるのかとおもいきや、そうでもなく、全く良いところがない。正直、終盤は眠くてしかたなかった。

■これまでの作風をみてもマイケル・チャベスはどうも怪異描写に全くこだわりがなくてちっとも怖くもないし、そもそもドラマ的なサスペンスを放棄した時点で負けは決定的だ。序盤の設定紹介からして活劇志向の構図を引いたのは悪くないのに、それなら、ちゃんと活劇としてのサスペンスやキャラクターの決着を描かないと、単なる大味なアトラクション映画にしかならないわけで、結果はかなり予後の悪いものになった。死霊館ユニバースもいよいよ末期的だなあ。


参考

マイケル・チャベスは単純に筋が悪いのだ。
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
前作「死霊館のシスター」はかろうじて工夫の跡がみられたけれど。。。
maricozy.hatenablog.jp

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