50回目のファースト・キス ★★★

50 FIRST DATES
2004 スコープサイズ 99分
DVD 


 ハワイに住む獣医(アダム・サンドラー)は、あとくされの無い一夜限りの女を漁るプレイボーイだが、ある朝、カフェで親しくなった娘(ドリュー・バリモア)には、思いがけない秘密があった。交通事故の後遺症で、事故以前の記憶はあるが、それ以降の記憶は一夜眠ると綺麗さっぱり消え去っているのだ。それから毎日、口説いては、恋に落ちる繰り返しに・・・

 主演は演技派のドリュー・バリモアだが、特に高い演技力が必要な映画でもなく、慰安を兼ねたハワイロケをまったりと楽しみながら撮り上げた映画といったところだろう。アダム・サンドラーの映画らしい変人キャラが脇を固め、下品なくすぐりのギャグも満載で、ただのぬるいラブコメにはなっていないのは、彼の良心か?「ウォーター・ボーイ」は良かったからなあ。

 ピーター・シーガルの演出も素直で嫌味が無く、撮影はなぜか名手のジャック・グリーンを連れてくるあたりは、なかなかの拘りである。実際、DVDで観ると、明るいハワイの風景がいっそう映え、この映画の魅力の大きな部分を担っている。イーストウッドと組んでスコープサイズの画角の活用と暗さの表現に挑戦を続けてきた名手が、今回はピーカンのバカ明るい画を揃えたところが興味深い。メイキングを見ると、実際は天気が変わりやすく、すぐに雲が出るので、明るさが揃わない苦労があるらしい。

 アダム・サンドラーという人、どんなコメディアンなのか、詳しくは知らないのだが、映画を観る限り、清潔感と知性を感じさせるキャラクターでありながら、脇役に癖の強い変人を配置して、変人に対するシンパシーを隠そうとしないところが特徴で、気になるコメディ俳優だ。

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