FUNNY PEOPLE
2009 スコープサイズ 140分
DVD
■有名なコメディアンが余命何ヶ月と宣告される。若手芸人をフックアップして座付き作家にして育てて死を受容しようとするのが前半、後半は新薬が奇跡的に効いて助かった主人公が昔別れた女とよりを戻そうとする恋愛コメディが後半という二幕構成の変な映画。そもそもアダム・サンドラー主演のコメディ映画なのに2時間半もあるという謎の大作なのだ。製作、脚本、監督のジャド・アパトーという人の趣味というか志向なのだろうが、やっぱり謎だ。しかも撮影監督は巨匠のヤヌス・カミンスキーだぞ。おかげで映像的には落ち着いた立派なタッチで、安心してじっくり見ていられる。
■一幕目と二幕目が完全に分離してみえることがやはり異様で、しかもアダム・サンドラーの元彼女を演じるのがレスリー・マンという女優だが、これは監督の嫁。その娘役が夫婦の実の娘という謎の公私混同スタイル。ただ、アダム・サンドラーの演技にしても相手役のセス・ローゲンにしてもレスリー・マンにしても演技的には非常に充実しているし、演出も丁寧なので、決して退屈ではない。劇中のお笑い芸人のネタが全て下ネタというのもアメリカンな感じで、日本で劇場公開されなかったもの無理ない感じだが、決して不出来は映画ではない。けど、奇妙な映画ではある。アダム・サンドラーのお抱えスタッフによるいつものベタベタなコメディ映画(大好きだ!)ではなく、恋愛コメディ映画に近いが、やっぱり変な映画である。無理やり二つの話をしようとしているからだ。