だれもがクジラを愛してる。 ★★★☆

Big Miracle
2012 スコープサイズ 107分
DVD

■アラスカの氷原から脱出できなくなったクジラの一家を国家の枠も超えた協力で救出した事件を映画化した意外な良作。ドリュー・バリモアが製作と主演を兼ねる。

■事件にかかわった人間たちをそれぞれの立場の代表者に絞っているのでこじんまりとした印象だが、利害関係の対立をいかに調整して、妥協を引き出していったかという、プロジェクトX物映画ともいえる。単にクジラたん可愛いという映画じゃなくて、クジラを捕獲する少数民族の視点も重視され、結局あのお祭り騒ぎは何だったのかという視点も外さない。実質的にお話の中心は彼らかもしれない。

■グリンピースの職員役がドリューだけど、美化はされておらず、厄介なクレーマーという描き方になっている。しかも、交渉においてもかなり恫喝的な手法を用いるあたりもなかなかにリアルで説得力がある。全体にかなりうまい脚本だと思う。バッテリーをヘリで空輸中に起こる珍騒動もいきなりコメディ映画と化す演出も、意表を突いていい感じ。

■物語上の困難がすべて物理的に構築されているのも美点で、実際その通りなわけだが、氷原から外洋への一直線の道筋をどう作っていくのか、その最終的な解決はどの方向からやってくるのかという、直線的な動機で構成されていて、非常に気持ちいい。米軍が運搬する巨大な作業基地が結局役に立たず、最後の希望がソ連に託される展開も事実その通りとはいえ、できすぎた筋立てだし、映画としては痛快至極。

■配役が主演以外小粒で低予算なんだけど、かなりよくできた社会派動物映画で、クジラ好きの人、動物映画好きの人は必見。映画館で見逃したので、今回やっと観られて素直にうれしい。

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