ロンゲスト・ヤード ★★★

THE LONGEST YARD
2005 スコープサイズ 114分
DVD


 八百長試合で追放されやけになった主人公ポール(アダム・サンドラー)は、自暴自棄で暴走運転、刑務所送りとなるが、所長(ジェームズ・クロムウェル)は看守のフットボールチームの当て馬となるべく、囚人チームを率いるように脅迫する。刑務所中から選りすぐりの凶悪チームが編成されるが、次第に本気で勝つ気になり、所長はポールを亡き者にしょうと企むが・・・

 オルドリッチの同名映画のリメイクだが、オリジナルは未見。本作はコメディ要素を増量したものの、基本的にはアダム・サンドラーのタフガイぶりを楽しむ男臭い映画に仕上がっている。

 基本的に個性的な脇役で笑いを振りまき、アダム・サンドラー自身はその受けの芝居に専念するというスタイルで、でしゃばらずに主役を張るという余裕の立ち位置にある。しかも、その対比のなかで彼一流の知性と清潔感が引き立てられるといううまい設計だ。もちろん、本作でも特に名演を見せるわけではないが、トム・クルーズよりも正統派の二枚目ではないかと感じさせる静かな貫禄と洗練を見せる。しかも、キャラクターの爽やかさではトムをとうに追い抜いている。

 映画自体は非常にオーソドックスな構成で、特に目を見張るような展開は用意されていないが、憎まれ役のジェームズ・クロムウェルも久しぶりに性格俳優の本領発揮で頼もしいし、ポールの相棒となるクリス・ロックの小動物のような個性が微笑ましい。

 「ビッグ・ダディ」や「ミスター・ディーズ」のような強引かつ歪な展開がもたらす弾ける笑いが無いのは寂しいが、癖の無い、よくできた映画であることは確実だ。

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