再会の街で ★★★☆

REIGN OVER ME
2007 スコープサイズ 124分
祇園会館

■歯科医として成功したアラン(ドン・チードル)は街角で大学時代のルームメイト、チャーリー(アダム・サンドラー)の姿を見つける。テレビゲームと音楽に没頭して、精神的に退行した生活を送る彼は、妻と3人の娘を9・11で亡くしていたのだ。チャーリーの生活に付き合ううち、アランは不思議な開放感をおぼえてゆくが、やはりチャーリーには精神科での治療が必要だと感じ始める・・・

アダム・サンドラーが持ち前のこども大人のキャラクターを生かして、9・11遺族を演じた人間ドラマ。正直、もっとハリウッド的な安易な結末を予想していたのだが、安直に流れず、現実の重みから目を離さない誠実さを保持している。それと同時に、ビデオゲームと音楽だけに没頭し、現実世界から逃避した、孤独な生活を送る彼のなかに、家族持ちには手の届かない自由の姿を垣間見るというプロットを重ねあわせたあたりの人間関係の綾の付け方は秀逸。

アダム・サンドラーが、誰を見ても亡くなった家族に見えるし、大型犬を見ても一緒に亡くなった小型犬に見えてしまうんだ、とはじめて押し隠してきた真情を吐露するラストの場面は感動的だ。

■原題はザ・フーの「愛の支配」という歌からの引用らしいが、アダム・サンドラーを、そしてアメリカ国民を支配しているのは、愛だけでなく、現実を直視することも叶わぬほどに耐え難い「恐怖」の念であることを正直に告白した点でも卓越した仕事である。

■歯科医の下半身を狙って付きまとうイカれた美女サフロン・バロウズが往年のミシェル・ファイファーのように色っぽくて楽しい。他方、精神科医リブ・タイラーが演じているのだが、これはミスキャストではないか。系統の似た美女がふたり並ぶと目移りしてしまうのだ。

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