『永遠の0』を再見する

■『ゴジラ-1.0』を観ると、明らかに『永遠の0』の続編的な性格を有しているので、改めて再見したけど、やっぱりあまり大したことなかった。ドラマ的には新鮮な視点がないし、ドラマも役者も演出も妙に生硬で、なんだか堅苦しい教育映画みたい。家族のために生きて還ることを願い、特攻作戦を嫌悪していた兵士宮部久蔵がなぜ最終的に特攻作戦に志願したのかという謎を追う心理ドラマだけど、正直あまり説得力も意外性もない。

夏八木勲は封切り時には物故しており、平幹二朗も2016年に亡くなっていが、山本學橋爪功も健在。彼ら大ベテランは、でもステロタイプな役柄で、結局みんな田中泯の引き立て役に過ぎないのが残酷。橋爪功なんて、よくあんな平板な役(説明役)を引き受けたなあ。仮にも杉浦恭介(@京都迷宮案内)として、すべての美談や建前を疑ってかかるひねくれ者が当たり役なのにね!特攻作戦の美談なんてまっさきに疑ってかかるはずの人なのに!それに前にも書いたけど、吹石一恵は無駄に綺麗すぎて、逆に可哀想。もっといい役つけてくださいよ!そして、狂言回しであまり美味しいところのない三浦春馬。もうこの世界にはいないのだ。。。後年の『太陽の子』良かったのになあ。
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■実際のところ『ゴジラ-1.0』は山崎貴のドラマ演出家としての不出来な部分が、キャラクター映画としての見せ場やVFXの見せ方のうまさでいい塩梅に中和されて、なんだかそれなりのドラマがあったかのように錯覚させてしまった、絶妙なバランスで成り立った佳作だったという気がする。

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