基本情報
Ghostbusters: Afterlife ★★★
2021 スコープサイズ 124分 @アマプラ
感想
■ポール・フェイグのリブート版が肝心の女性観客にそっぽを向かれたからか?また仕切り直しが入った本作ではポール・フェイグ版はなかったことになっている。そして脚本、監督にオリジナルのアイヴァン・ライトマンの息子、ジェイソン・ライトマンが起用された。正直、ジェイソン・ライトマンは『ジュノ』とか『マイレージ・マイライフ』とか『ヤング≒アダルト』とか、機智のきいた秀作を連打する才人で、すでに父親を超えていると思うのだが、今更ジャンル映画をあてがわれてどうするのかと思いきや、さすがに手堅い娯楽作になってますよ。
■聞いたこともないど田舎に隠遁してた変人のおじいさんが死んで、もともと家計が破綻寸前だったうちら一家は、幽霊屋敷みたいな家を相続したんやけど、その地方では原因不明の地震が毎日起こるし、おじいさんの隠し部屋からはケッタイな機械が出てきて、ガッコの先生に見せたらゴーストバスターズって知ってるか?言われたけど、うちの生まれる何十年も前のことやて。そんなン知らんわ、誰やそれ?
■監督と撮影監督(エリック・スティールバーグ)がお馴染みのコンビなので、映像のルックはジャンル映画ではなくて、非常に繊細なロケーション撮影だし、照明の具合もリアル志向。素のドラマだけ観てると、青春文芸映画かと思う程。前作は完全にコメディ志向だったが、本作はリアルなジュブナイル路線で、子どもの冒険映画にしてしまったのは成功だった。なにしろ主演のマッケンナ・グレイスが天才的に素晴らしい。『アナベル 死霊博物館』でウォーレン夫妻の娘を演じたあの娘だけど、全く気が付かなかったよ。理系オタクっぽいチリチリのヘアスタイルと丸メガネで科学オタク少女を好演する。最初は男の子かと思ったほど、ボーイッシュで可愛くて痺れる。この娘の成長譚になっているわけだけど、実はアクションも結構良いのだ。
■特にというか、全編中の白眉なのは中盤の鉄を食うゴーストを捕獲すべくECTO-1改で猛追する場面で、ジェイソン・ライトマンの意外な才能を垣間見せる。おそらくはホークスの『ハタリ!』あたりをイメージしたのだろうが、ECTO-1の座席が銃座になって車外にせり出すびっくりギミックが最高にカッコいいから必見。オタク少女が活劇のヒロインに転じる名シーンだ。この一連の追跡シーンだけで、この映画を観る価値がある。マッケンナ・グレイス、最高にクールだ。(というか燃える演出!)
■この少女の祖父が実はハロルド・ライミスで、というところがオールドファンの琴線を刺激するところで、ラストにはもちろん、あんなことやこんなことが起こるわけ。そうそう、劇伴も昨今の脱メロディの打楽器ドンドン路線ではなく、80年代アメリカ映画風のオーソドックスな美メロで聞かせる。エリック・スティールバーグの撮影も秀逸で、何もない広大な大風景の中に登場人物を逆光気味に捉えたカットが多く、夕陽がキービジュアルになっている。一部の空の情景などは、ポスプロで雲を入れ替えたりしているようだ。VFXはMPCとかDNEGというエフェクト工房が担当しているようだが、あまり知らないなあ。