オール・ユー・ニード・イズ・キル ★★★

Edge of Tomorrow
2014 スコープサイズ 113分
Tジョイ京都(SC7)

■宇宙人の侵攻を受け応戦中の欧州で、腰抜けの広報官が最前線に送り込まれ、宇宙人の血を浴びたことから時間ループの能力を身に着け、同じ状況を繰り返すうちに超人的な戦闘能力を身に着けるが…というお馴染み、タイムループものの新作で、トム・クルーズ主演のトムクル映画。いろいろと勿体ないなあと思う部分もあるけど、トムクルのスター映画としての面白さは保証付きで、深読みしても軽く流し見しても十分に面白い。

■なんといってもノルマンディー上陸作戦もかくやという激戦の最前線にいきなり送り込まれるという序盤の戦闘シーンの迫真力は素直に凄い。『プライベート・ライアン』+『スターシップ・トゥルーパーズ』+『エイリアン2』という元ネタを隠そうともせずに、それでも秀逸なVFXと演出とトムクルの絶妙な腰抜け演技で、観ていて身につまされる面白さ。この異様に情けない風情の卑怯者(でも等身大の私たち)が同じ時間を何度も生きることで戦士として覚醒してゆくというお話を巧みな説得力で見せきる。初めて着用するパワード・スーツで、あたふたと走り回るトムの不細工さのリアリティが感情移入を促進する。これに比べるとクライマックスのルーブル美術館の戦闘はナイトシーンでもあるし、スケール的にも尻すぼみ感は否めない。

■まあ、エミリー・ブラントはこれまでの映画でも嫌いじゃないんだけど、今回は少々地味すぎではないか。もっと華のある女優を充ててほしかったなあ。

■ラストは何やら気の利いた風な台詞で締めくくりがちだが、さすがわトムクル映画、そんな野暮な演出は許さない。トムクル映画の締めくくりはあれしかないじゃないか、あれしか!さすが、トム・クルーズのゆるぎない映画製作の姿勢は称賛に値すると思う。

© 1998-2024 まり☆こうじ