感想
■大阪から長女を頼って残りの三姉妹が上京して東京で四姉妹が揃うが、幼馴染のキャメラマンと再開したことから、次女と三女の間に微妙な隙間風が漂い始める。。。
■何故か異様に気合の入ったリマスター版で、こってりとした色彩と解像度の高いピカピカの放送原版。正直なところ何も期待せずに観ていたのだが、なかなか面白い。脚本の三木克巳は井手俊郎の変名で、日活で書くときのペンネーム。さすがに井手俊郎の脚本は面白いなあと感心した。
■四姉妹だが長女の芦川いづみは顔見世程度出番で見せ場もなし。四女の和泉雅子は当時の人気アイドル女優で、最近は冒険家の姿しか思い浮かばないが、コミカルな演技がナチュラルでうまいし、天性の役者ぶり。でも、結局は引き立て役なんだよね。しかしその引き立て方がまた上手なんだけど。
■実質の主役は三女小百合と次女ルリ子。しかも、最終的には小百合に感情移入させるように作劇されているからルリ子は極言すれば憎まれ役なのだ。キャメラマンの恋人がありながら、ボンボン大学生との遊びもやめられず、どっちつかずのダラダラした二股関係を続けるルリ子の最終決断に、観客みんなの反感を煽り、その怒りを小百合に代弁させる。みんな死ねばいいんだ!と叫ぶ小百合に観客全員が快哉を叫ぶ。
■ラストの空港の場面でも、屈託なく幸せそうな花嫁姿のルリ子を遠目に眺めながら、怨念と万感のこもったたった一言「お姉ちゃん!」と叫ぶあたりの作劇もうまいし、演出的にも見事に成功している名場面。
■監督の森永健次郎は結構謎な演出が多くて、フルショットで無意味なクレーンショットを多用して、意味なくキャメラが動き回るし、カット尻は次のカットに食い込むくらいの速度で余韻もクソもなく場面転換するし、いわゆる文芸映画の撮り方ではない。主題歌もあまりに古臭くてさすがに今聞くには厳しい。昭和39年当時の東京の世相をドキュメンタルに切り取るという趣向も中途半端。でも、要所要所の引き締め方はソツがなくて、メロドラマとしてはよくできている。
■正直、本作は小百合が一番の儲け役で、実際演技的にも予想外に良い。次女のルリ子は前半、なんだか軽い役だなあと思っていると、徐々に背負った恋愛ドラマの構造が見えてきて、二人の男の間で揺れ動く悪の二股女を演じることになる。完全に憎まれ役ですからね!お約束通り、最後に自らの意思で愛する男のもとに走り出す小百合に、和泉雅子が冒頭で語る夢のために蓄えた貯金をさらっと差し出す場面も実にうまい脚本。昭和40年の正月映画にしては小品ですが、いやあ良い映画でしたよ。堪能しました。
参考
そうそう、これも森永健次郎の映画だった。変な人!
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あれもこれも、ぜんぶ小百合映画なのだ!オススメは『手塚治虫のブッダ』なのだ。本気です!
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