基本情報
青春のお通り 愛して泣いて突っ走れ! ★★★
1966 スコープサイズ 89分 @アマプラ
企画:坂上静翁 原作:京都伸夫 脚本:三木克巳 撮影:萩原憲治 照明:大西美津男 美術:坂口武玄 音楽:小杉太一郎 監督:斎藤武市
感想
■森永健次郎のおなじみ即興的演出が冴えた快作『青春のお通り』の続編。だけど、藤村有弘演じる浪花先生は出番が少なくて、奥さんも謎のゴージャスグラマーな芳村真理から香月美奈子に変わっている。今回のお話は、前作からの浜田光夫を巡る三角関係に、後半から桜子(吉永小百合)の兄弟たちの妙に複雑なお話が加わって一体どう収拾するのかと思いきや、ちゃんと綺麗に収まるので痛快です。そこはさすがに三木克巳(井手俊郎)です。
■桜子の兄(杉江弘)は華僑の嫁に入婿して大分の温泉ホテルの社長に収まっているし、姉(小園蓉子)はNYで活躍中のはずが黒人との混血の赤ん坊を抱いて帰ってくるし、主人公の実家のややこしさがハンパじゃないぞ。どんな一家なのか、何かモデルがあるの?それにしても、吉永の兄妹の配役は地味すぎないか?杉江弘に小園蓉子って、いくらなんでもねえ。
■そしてクライマックスは姉と黒い赤ちゃんの母子再会という母モノ定番のお涙頂戴シーンになるし、ホントにどこを目指しているのか掴み難い作劇なんだけど、最後にはなんとなく綺麗に収まって納得感があるから凄いよね。当時の日活の若手ライターが書いても、こうはいかない。そこはホントにベテラン凄いよね。
■吉永&浜田コンビの典型的な性格描写で、とにかく吉永が意志の強い女史で、すぐにキレて怒り出すのがトレードマーク。後年の吉永小百合しか知らない世代には、ちょっと想像がつかないけど、若い頃はキレてなんぼのキレキャラだったのだ。70年代の試行錯誤を経て、80年代に早坂暁のドラマや市川崑の映画でイメージチェンジに成功したのではないかと思う。対する浜田はとことん受け身で優柔不断な性格で、漫才のボケ役。そうそう、吉永&浜田のコンビはまさに漫才コンビだったのだ。夫婦漫才。そのコンビネーションがここではかなり誇張気味で、その分わかりやすい。作品によっては、浜田は吉永のメンターとしても登場するし、たぶんその方が作品としてはシリアスになるのだけど、コメディ路線では完全に夫婦漫才。
■斎藤武市の監督で撮影が萩原憲治なので、前作ほどの即興性はないけど、ロケ撮影盛りだくさんで、約60年前の日本の情景が記録された記録映画でもある。一方、やたらとバージン信仰を強調するのも日活青春映画の謎で、その信念というか妄念はどこから発出したものだろうか。大体、この盲信から悲劇が生まれる展開が多いよね、昔の日活青春映画は。
■でも、本作と比較すると前作の森永健次郎って、演出がアヴァンギャルドだなあ。斎藤武市より年寄りなのに!