基本情報
青春のお通り ★★★
1965 スコープサイズ 75分 @アマプラ
企画:坂上静翁 原作:京都伸夫 脚本:三木克巳 撮影:藤岡粂信 照明:岩木保夫 美術:西亥一郎 音楽:山本直純 監督:森永健次郎
感想
■チャッカリ娘(吉永小百合)は短大を出ると売れっ子放送作家(藤村有弘)と女優(芳村真理)の夫婦が住む宝塚の豪邸にお手伝いさんに入るが、旦那は浮気性で、妻にも東京に浮気相手があった。女優の仕事で東京に付き添った彼女は、撮影所の大部屋俳優の青年(杉山俊夫)と知り合うが、彼女には千里丘に住む親友の兄(浜田光夫)に未練があった。。。
■タイトルバックで開発途上の千里丘の丘陵地が延々と映し出されるので、千里ニュータウンがメイン舞台かとおもいきや、宝塚の豪邸と日活の撮影所風景がフィーチャーされるという、意外と開放的でスペクタクルな(?)青春映画で、さすがに三木克巳(井手俊郎)だなあと納得する、綺麗に構成された佳作。吉永小百合はいつも以上に頼りない声優役の浜田光夫と大部屋俳優役の杉山俊夫の間で揺れ動く。
■短大の同期でなかよし三人娘が吉永、浜川智子、松原智恵子で、楽しそうに好演するし、売れっ子放送作家の藤村有弘もキャラクターとしては当然のハマりっぷり。対する妙にグラマー(死語?)な大女優役がなんと芳村真理で、ホントにビックリする。正直誰だかわかりませんでしたよ。知らない女優だけど、なんでこんなに綺麗で貫禄があるの?と思って見ていた間抜けです。
■三木克巳と森永健次郎はかなり相性が良いようで、他にもコンビ作があるけど、三木克巳の無駄のないしっかりした脚本構成のおかげで、モリケン監督のアドリブ的な演出が自由に振る舞えるようだ。本作もとにかく無意味にキャメラが動き回り、編集も多少のギクシャクは気にしない。
■ヌーベルバーグだってもっとやってるだろ?若い観客が観るんだから、これくらいラフなタッチが新鮮なんだよ。と言ったかどうかは定かでないが、名キャメラマンの藤岡粂信も持ち味のじっくり作り込んだオーソックスな画調とは異なり、かなり即興的な撮影。ロケ撮影の照明効果なんて、緻密なリアリズムは無理だから、現場の雰囲気優先で。でも、日活撮影所の裏側を積極的に使ったロケ撮影が圧巻で、モリケン監督ならではの思いつかないアングルが炸裂する。吉永と杉山の別れを大俯瞰でスペクタクル映画のように撮った長いカットなんて、かなり凄い。
■青春映画なのに最終的なクライマックスは千里ニュータウンのショッピングセンター(といっても昨今のショッピングモールではなく、ホントに個人商店が軒を並べているだけの昔懐かしいスーパーマーケット!)の現地ロケというのも凄くて、もちろん脚本的には序盤の買い物シーンに呼応しているのだが、ここで吉永と浜田が再開して、例によって言い合いしながら一気に和解して、陽光のあふれるニュータウンに駆け出すという展開もあっけにとられる清々しさ。ああ、若いっていいなあ!
参考
三木克巳と森永健次郎のコンビといえば、これですね。快作「若草物語」
maricozy.hatenablog.jp
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