承前
さてこの記事では、次期(中継ぎ?)メインアンプ候補として中古機を購入したYAMAHA製A-S501に関して、その秘められたポテンシャルが明らかになります。
奥深い謎機能、それはラウドネス機能
YAMAHA製のアンプを使うのは初めてですが、意外に便利だったのは、ラウドネス機能ですね。これはYAMAHA独特の「連続可変式ラウドネスコントロール」という機能で、基本的に、夜間などに小音量で聞きたいときに駆使する機能ですが、連続的にデシベルを落としてゆくので調節の範囲が広く、かなり柔軟に自分の好みの音色が作れます。
YAMAHAのホームページでは以下のように説明されています。
【A-S700】LOUDNESS調節つまみを回すと、音が小さくなる
A-S700でLOUDNESS調節つまみを回すと、音が小さくなる。 イメージとしては音が大きくなると思ったのだが、想像と違う。
【対象品番】A-S700
LOUDNESSは、中音域の音量を落として、低域・高域の音量に近づける機能です。
メインボリュームを上げて、低域・高域の音が適切に聞こえる状態から、 LOUDNESS調整ツマミで中音域を下げ、小さな音でも低域・高域を聞こえやすくします。
しかし、実際の聴感としては、高音と低音を絞って、中音域に音の幅を纏めていくように聞こえるんですね。YAMAHAの説明を勘案すれば、中音を引きながら、高音と低音を残すことで、高音と低音から聴覚上中音域が合成されているとでも考えればいいのでしょうか。
上下左右の音の広がりととがったところをどんどん縮尺して音像を小さくまとめていくイメージです。ある意味ラジオのようなフラットでナローな音質になります。
ボリュームとラウドネス(さらにトーンコントロール)で、無段階に音色を作れるのがすごいところで、こだわると底なし沼です。
でもこれが実に実用的で、夜間もそうですが、勉強や読書の際に気が散らない耳触りの言い音で聞くことができるのです。実際、この機能は多用してます。あえて作った、”贅沢なフラットさ”とでも言いましょうか。ちょっと倒錯的な感じもしますが、そこが楽しい。
ソニーのアンプだとMUTE機能を効かせてボリュームを上げるのと同じようか効果があり、夜間のBGMとして刺激控えめに流すにはピッタリな機能なのです。
ラウドネス機能については以下のブログに詳しいです。参考にさせていただきました。
open.mixi.jp
https://function5.biz/blog/otohako/2019/12/22047.phpfunction5.biz
意外にパワフルな鳴りっぷり
メイン機のソニー製TA-F333ESRと比べてもS501は実にパワフルです。ボリュームの位置は9時を上回ることはほぼありませんからね。
TA-F333ESRは、ボリュームを上げても耳に刺さるキツイ音が出ないという美点があります。中音域に厚みがあり、元気な弾みのある音が鳴ります。なのでなかなか手放せない。
一方、A-S501はボリュームを上げると明らかにうるさくて高音が耳に刺さります。どうも高域の解像度を求めるとこういう傾向になるようですね。なので、積極的にトーンコントロール機能を使っています。小型スピーカーを使うことが多いので、BASSを持ち上げてやると、SONYのTA-F333ESRとほぼ遜色のない音色になりましたよ。低音域の厚みが出るけど、ブーミーにはならない。
ついでに、光デジタル入力は案外悪くなくて、これまであまり良い印象がなかった光デジタル接続を積極的に使うようになりました。
エイジングの効果か?はたまた気温上昇の効果か?
かれこれ3ヶ月くらいA-S501を使い込んでいますが、最近なんとなく低音がこなれて来た感じがします。以前よりもちゃんと低音部分が主張するようになってきた感じがするんですね。
使ってるスピーカーは同じもので、何年も使っているのでいまさらエイジングは進まないわけで、アンプ側になにか変化があったと思われます。耳が慣れてきたせいかもしれませんが。
そもそもアンプのエイジング効果については懐疑的ですが、少なくとも真冬より暖かい時期の方が音質も安定するし、機械的な不具合も減ることは経験しているので、春になって電気が通電しやすくなるのは確かでしょう。自動車のエンジンでも冬場に比べて気候が暖かくなってくると、不快な振動が減って気持ちよく吹け上がるようになるのと似た現象でしょうかね。(ホントか?)
結局、メイン機たりうるのか?
家電品としての物理的なつくりや質感はさておき、価格が安いわりに本格派のオーソドックスなアナログアンプなので、お買い得感は感じられるのですが、あとはユーザーの音色の好みに合うかどうかですね(当たり前だけど)。
寄る年波で、耳に刺さる高音は苦手で、聞くジャンルも古い歌謡曲やPOPSが多いので、昔ながらのどすのきいた押し出しの強い中低音に包まれて癒されたいという傾向があるので、サンスイとかソニーの昭和末期、バブル期の重厚なアナログアンプにどうしても惹かれてゆくわたしです。
一方で、ブーミーなぼんやりした投げっぱなしの低音は大嫌いなので、悩ましいところです。サンスイとかソニーのバブル期の製品はとにかく電源部が異常に強力なので、低音の制動、締まりはいいようなので、意外とブーミーにはならないようですが。
本機も低音部分のスピード感がマランツと似ていて、軽快に駆け抜けるように鳴らすので、ブーミーにならないのは大きなメリットなんですがね。
ただ、ガッツがある鳴りっぷりとは言えないようで、YAMAHAらしい(?)上品なタイプなので、聞く音楽のジャンルには合わないのかもしれない。トーンコントロールでかなり自分好みに補正できるのだが、それでも低音域は案外さらっとしていてガッツまでは感じられない。
結論
たぶん、1年以上は使うでしょう!特に決定的に駄目というポイントはないですからね。でも、ソニーのTA-F555シリーズの状態の状態の良いのが安価で手に入れば、リプレースしてしまうかも。。。(いやその時はTA-F333ESRの方がお払い箱か!)
追伸
と思っていたら、YAMAHAが最新の高級機を投入してきたよ。しかもこれまでの機種からトランスをグレードアップ(?)して、トロイダルトランス搭載ときたからこれは、食指が動く。値段も一気に桁が跳ね上がりますが、まずは視聴してみたいなあ。値段は数倍以上違うわけですが、はたしてA-S501とどの程度音色が違うものなのか!?
しかし、20kg超えは二階の部屋で聞くには重すぎるぞ!
av.watch.impress.co.jp