感想
■少し前に観たんだけど、高島忠夫追悼のために今更更新しておくよ。いい俳優だったよね。俳優として過小評価されていると思う。
■お堅い経済雑誌の行き詰まりでオーナーから立て直しを指示された新任編集長はなりふり構わぬ編集方針でスキャンダル雑誌として再生するが、大きな政治的スキャンダルを掴んだ時、ジャーナリストの本性がむくむくと湧き上がり...というお話で、松木ひろしのオリジナル脚本らしい。
■高島忠夫って、基本的に歌とかコメディとかが絡むお気楽要員なんだけど、本作はひたすら真面目路線で、完全に二の線。しかも、かなり成功している。後に『フランケンシュタイン対地底怪獣』なんかで真面目路線を演じてなんだか座りが悪く感じたものだが、本作が先にあり、『フランケンシュタイン対地底怪獣』がありという時系列で観ると、実になんの違和感もないのだ。高島忠夫は油断すると関西アクセントが出てしまうのだが、本作はかなり抑えている。個人的には『ゴジラの息子』も大好きで、あれは高島忠夫の老け役が映画の胆だと思っている。
■終盤のまとめ方がいまいち上手くいっていないので傑作とまではいえないのだが、まだぎりぎり東宝に余裕があった時期の映画で、企画も脚本もまったく意欲的。オリジナル脚本でここまでやる。
■有島一郎や平田昭彦たちのお馴染みのメンバーがちゃんと生きているのも楽しくて、まあ邦画斜陽期の始まりとはいえ、まだまだこれだけの余裕があったんだねえとしんみりする。