感想
■作:ジェームス三木、撮影:佐々木達之介、音楽:佐藤直紀、演出:田中健二で贈る、2015年のスペシャルドラマ。明治から昭和初期にかけて日本の経済政策で、水際だったセンスと活躍を示して、2.26事件で暗殺された、高橋是清の伝記ドラマ。
■まあ、高橋是清(オダギリジョー)が暗殺されたときは、首相も経験済みで引退しているのに無理やり蔵相に請われて、すでに81歳だった。当時、いかに人材が払拭していたかということか。しかも、男子の平均年齢45歳くらいの時代の81歳ですからね、今よりも人材の畑自体が小さかったのか?犬養毅(舘ひろし)だって76歳だから、当時は困ったときは、長老に頼ろうという気風があったのかも。長寿じたいが珍重された時代だし、長生きしているだけで、特別な生命力と、強い運勢と、それに支えられた深遠な知恵が備わった貴重な存在(仙人的な?)という捉え方があったのではないか?今では「ボケてる」とか「老害」としか言われないが。えらい違いやね。。。
■正直、ドラマとしてはあまり見どころがなくて、嫁役のミムラも見せ場がなくて、むしろお手付きの家政婦役の松岡茉優が印象に残る。松岡茉優、若手のイメージだったけど、結構なキャリアですね。風間俊介とか林遣都も出てるけど、これも役得がない。
■約10年前なので、まだ(デジタル)シネマカメラは使用されておらず、しかもかなりの広角レンズを主体として撮っているので、80年代の香港映画みたいな画角になっている。撮影はいまやNHKを代表する名手の佐々木達之介だけど、特に見るべきところがないよなあ。業界では広角使いで有名だったらしいけど、正直あまり良いとは思わない。田中健二の演出も、脚本が冴えないので見せ場がなくて、得意の女優使いも松岡茉優で生かされたくらいかなあ。そうそう、老けメイクはいつものように江川悦子だけど、これも厳しいなあ。照明の具合によって、額に変な影と質感の違和感が出て、フランケンシュタインの怪物に見えてしまう。