いいから誰かゾーンファイターを呼んで来い!『ゴジラ対メガロ』

基本情報

ゴジラ対メガロ ★
1973 スコープサイズ 82分 @APV
原案:関沢新一 脚本:福田純 撮影:逢沢譲 照明:森本正邦 美術:本多好文
音楽:真鍋理一郎 特殊技術:中野昭慶 監督:福田純

感想

■何年ぶりかで観た本作ですが、いやあなんとも凄絶な映画でしたね。90分もない短い映画なのに、3回に分けてやっと観通すことができました。あまりに退屈でさすがに集中力がもたない。

■とにかくすべてがオフビートですべてが理不尽に展開する。新怪獣メガロの活躍も、いきなり自分の破壊したダムの猛烈な水流に押し流されて「河童の川流れ」状態となるわ、バッタでもないのに謎のぴょんぴょん歩行を披露するわ、ひたすら行動原理が謎で、観ていて困惑し、疲労する。自衛隊の活動はすべてライブフィルムだし、ガイガンゴジラの戦いもたった一年前の『ゴジラガイガン』のフィルムを流用するという無節操さは、劇場公開当時のこども心にも、ダメだこりゃと思ったことだよ。

■明らかに前作よりも低予算だし、この1年後に、ほぼ同じスタッフによって、あの傑作『ゴジラ対メカゴジラ』が登場しようとは想像もできなかった昭和48年の春休みでした。あれはやっぱり助っ人脚本家に山浦弘靖を連れてきたのが良かったんじゃないかね。

■実は本作の公開の翌月の昭和48年3月には東宝映像製作による『流星人間ゾーン』がスタートしているのだから、ジェットジャガーを出すんじゃなく、ゾーンファイターを前倒しでお披露目して、ゴジラと共闘すれば良いコラボになったはずなのに、残念なことだ。タイトルもむしろ『流星人間ゾーン』の映画版で『ゴジラ対流星人間ゾーン』とでもして、ゴジラスペシャルゲストスターとして登場すればよかったのだ。そのほうが福田純も活劇として脚本を書きやすかっただろう。

■でも、東宝チャンピオン祭りでは伝説の『パンダコパンダ 雨降りサーカスの巻』が同時上映だったし、それなりに満足して帰った記憶がある。『飛び出せ!青春』も単純に面白かったしね。

■ちなみに、特撮美術の青木利郎は本家東宝映像製作の『流星人間ゾーン』じゃなくてライバル円谷プロの『ウルトラマンタロウ』に(特殊効果の渡辺忠昭と一緒に)参加して、本作の憂さ晴らしのように大規模なビル街のミニチュアセットを組んでぶっ壊しており、完全に当時のゴジラ映画のスケールを超えている。そして、『ウルトラマンタロウ』を途中で抜けた二人は中野組の超大作『日本沈没』の特撮チームに合流するんだね。

追記 2024/1/10

■以下の書籍によれば、東宝映像としてはジェットジャガーを映画でお披露目して、ジェットジャガー主演のTVシリーズを構想していたらしい。やっぱりそうだったんだね。じゃないと色々と腑に落ちない。

■でもこの当時はまだメディアミックスがそんなにしっかりと組まれておらず、局はオリジナルの新しいヒーローがほしいから、『流星人間ゾーン』としてテレビシリーズが始まったと。ジェットジャガーも出ればよかったのにね!


参考

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