「ゴジラ」東宝特撮未発表資料アーカイヴ プロデューサー・田中友幸とその時代

■これ、ほんとに変な本ですね。タイトルからして変ですよ。「ゴジラ」ってところが、意味不明。単に「東宝特撮未発表資料アーカイヴ」とすればいいところだ。
■非常に高価な本にしては、解説記事等が中途半端で、執筆陣については不満が残る。もっと調べて書いて欲しいところだ。馬淵薫(木村武)のことにしたって、もっと具体的な人となりが資料的にわかってきているというのに、まったく調査していないのは、怠慢といわれても仕方ない。
■まだ「火焔人間」と「フランケンシュタイン対ガス人間」の検討用脚本しか読んでいないが、「火焔人間」は掛札昌裕らしい、古風な怪奇映画風の道具立てて、変身人間というよりも、血を吸うシリーズの世界観に近く、山本迪夫でそのまま映画化できそうな完成度の高いものだ。私見ではこの”火焔人間”モチーフが、後の金子修介の「クロス・ファイア」に結実しているのではないかと思っているのだが、「火焔人間」の打ち捨てられた炭鉱地帯の荒涼とした原野という舞台設定は魅力的で、映画美術的には魅力的な素材だ。
■「フランケンシュタインゴジラ」は途中までしか読んでいないが、馬淵薫の魅力爆発といえる、ゴリゴリの理知的且つシニカルな筆致が冴え渡り、特に完成版の映画では土屋嘉男が演じたあの運命の男が、氷山に封印されたゴジラの警備に当っている場面の、ゴジラ初登場の段取りなど、まさに傑作である。