確かに名作!ハル・アシュビーて凄かったのだ!『チャンス』

基本情報

Being There ★★★★
1979 ヴィスタサイズ 130分 @NHKBS

感想

■永年仕えてきた主人が死んだ庭師は、はじめて屋敷の外に出た。彼は読み書きすらできない男だったが、たまたま出会った大富豪の家に保護されると病身の主人に気に入られ、ついに大統領と親しく話をすることに。。。

■というお話が、ちょうどミッドポイントまでですね。当然存在は知っていたけど、今まで観る機会がなかった名作。確かに傑作なので驚きました。もっとファミリー映画的な無難で、ベタなコメディかと思っていたので、映画のタッチが全く異なるので。ハル・アシュビーという監督、凄い人ですね。

■撮影監督のキャレブ・デシャネルは名前はなんとなく知っているけど、これも凄い仕事で、80年代の映画はリマスターしても妙にソフトフォーカスで甘い画になるけど、ギリギリ70年代のこれはリマスターの効果絶大で、解像度も陰影も凄いことになっている。『ライトスタッフ』『ナチュラル』で有名だけど、アカデミー賞はとっていないらしい。キメキメのグラフィックな画も決まるし、なによりナチュラルな照明効果が凄い。車内シーンの照明設計なんて、異様なほど。

■主人このチャンスは庭師なので、それ以外のことは言わないのに、周囲が勝手に深遠な哲学を語っているように、いい方向に誤解するから、話がややこしく、大きくなってゆく。そこがコメディとしての見せ場だけど、全体にコメディとしては撮ってなくて、結構シリアスな寓話として物語る。後半はお話の展開が急速に加速してゆき、映画の構成としてもオーソドックスによくできている。シナリオ作法の本に取り上げられるのも納得の固い構成。しかも、ラストの飛躍も秀逸。書くも書いたり、撮るも撮ったりの、名作ですね。

■ただ、さすがにこの時代の尖った部分が、性的な描写で、「ただ見ているのが好きなんだ」という言葉を誤解して、シャーリー・マクレーンがある意味滑稽な性的営みを演じることになるから、絶対にファミリー映画ではない。家族向けではなく、大人向けの映画。

ハル・アシュビーはもともと編集技師だったらしく、70年代のアメリカンニューシネマで注目された人で、『ハロルドとモード 少年は虹を渡る 』『さらば冬のかもめ』『ウディ・ガスリー わが心のふるさと』なんかの人だけど、はじめて観た。これ通常の娯楽映画の作法ではなく、最近のアート系とか映画偏差値高い系の映画監督のタッチに似ていて、妙に落ち着き払って上手いので感心したなあ。知られざる巨匠か?


参考

ニューシネマ、ええよね。あまり観てないけど。
maricozy.hatenablog.jp
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