大人のための贅沢な人情喜劇『やじきた道中 てれすこ』

基本情報

やじきた道中 てれすこ ★★★☆
2007 ヴィスタサイズ 104分 @BS-TBS
脚本:安倍照雄 撮影:柴崎幸三 照明:上田なりゆき 美術:中澤克巳、中山慎 音楽:安川午朗 視覚効果:橋本満明 監督:平山秀幸

感想

■久しぶりの平山秀幸演出作ですが、さすがの安定感で堪能させますね。10年ほど前の映画なので当然と言えば当然ながら、非常に高画質なのもありがたい。非常に新鮮で面白かったです。

■お話は弥次喜多道中に様々な落語のネタを混ぜ込んだ人情喜劇ですが、意外にもよくできていて、喜劇映画としてもスマートだし、弥次郎兵衛と花魁お喜乃の大人の恋路の顛末も語り口がしゃれている。橋本満明VFXに腕を振るう狸の小僧のエピソードも実にいい味。柴崎幸三のキャメラワークも絶妙で、小品ながら、実に贅沢な日本映画を見た気分。

■出だしの心中話が何故か溝口の『近松物語』というのも贅沢な遊び。吉川晃司が演じる幽霊話も綺麗に決まっているから、ホントに平山秀幸は上手いよ。落語ネタの映画は少なくないが、かなりの成功作。平山秀幸にはまたこうした小品を撮って欲しいなあ。

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