今更多重人格スリラーなんて!『スプリット』

基本情報

Split ★★★
2017 スコープサイズ 117分 @APV

感想

■正体不明の男に拉致された女子高生たちは、彼が多重人格者であることを知り、必死の脱出を試みるが...というお話。拉致された女子高生の中には幼い頃の性的虐待のトラウマを抱えた少女もおり...

■正直、多重人格者の犯罪劇などいまさら食傷で、新味も何もあったものではないし、実際にお話自体は実に凡庸なものだ。脚本だけならボツになる類の企画だが、シャマランの演出力でグイグイと押し切る。随所に、ためにするサスペンス演出がみられるのも、なんだか取って付けたようであまり褒められたものではないが、それでも決して退屈ではない。それはシャマランの演出に加えて、主演のジェームズ・マカヴォイの技巧的な演技にも負うところが大きい。

■23の人格を有する男が、24番目の「ビースト」人格の訪れを予期して恐怖するというお話自体は、先にも述べたように退屈で、あまりサスペンスも生まないのだが、小出しにされる多重人格者と超能力者の相関に関する仄めかしが、怪奇SF好きの観客の琴線を若干刺激する。しかし、そもそも女子高生たちを拉致した目的もよくわからないし、独特の宿命論的哲学(妄想或いは強迫観念)のユニークさが持ち味のシャマランなのに、今回は随分緩いお話なのだ。

■随分久しぶりに観たシャマラン映画だが、あまり感心はしないなあ。結局、あの映画と繋がっているとうラストの大技(無理くり)で呆気にとられるから、まあシャマランらしい稚気は感じるのだが。

スプリット (字幕版)

スプリット (字幕版)

  • ジェームズ・マカヴォイ
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