OUT

OUT [DVD]

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2002/VV
(2002/10/19 MOVIX京都/SC4)

原作/桐野夏生 脚本/鄭義信
撮影/柴崎幸三 照明/上田なりゆき
美術/中澤克巳 音楽/安川午朗
視覚効果/橋本満明 デジタル合成/光学太郎
監督/平山秀幸

 弁当工場に勤める4人のパート主婦(原田美枝子倍賞美津子室井滋西田尚美)たちが、その中のひとりが殺してしまった亭主の死体を押しつけられて始末に困って浴室でバラバラにしたことから日常を踏み外してゆくが、ゴミ置き場に捨てた死体は発見されるわ、主婦たちのヤバイ関係を察知した金融業者(香川照之)に利用されるわ、といった危機を乗り越えてゆくうちに自分自身の生き方に血が通ってくるのを自覚し始めるという、原作の持つピカレスクな持ち味を女性映画というジャンルに読み替えて作劇した平山秀幸の新作。
 おそらく、そうした改作のせいで物語の面白さとしては原作に劣るのだろうが、特に原田美枝子倍賞美津子の演技的な充実ぶりを目撃するだけで十分に感動的な女性映画に仕上がっている。西田尚美室井滋はこの二人の引き立て役に徹した役回りで共にその持ち味に相応しい活躍の場は少ないのが気の毒に思えるが、増村保造の映画に主演して映画デビューを飾った女優歴に相応しい原田美枝子の颯爽とした変貌ぶりにはただただうっとりと見とれるばかりだ。香川照之とのスケート場の場面で戸惑う彼を引き離して滑らかに滑り出す彼女の表情がまるで少女のように輝く瞬間は、この映画のもっとも感応的な場面だろう。
 映画の完成度としてはラストの北海道の場面が蛇足にしか見えず、倍賞と原田のかわす共犯者の別れの場面がクライマックスになっているのだから、あとは原田美枝子に焦点を絞って結末に持ちこんだ方が観客の感情移入は容易になったはずだと思う。このあたりの改作がもっとスマートに決まっていれば、★★★★確実だったのに。実に惜しい。
 さらに忘れるわけにいかないのが、寝たきりの老婆を演じる千石規子の存在で、戦後の日本映画を生き抜いてきた個性派女優との久々の再会の、あまりの感慨深さに終盤近いあの場面では、ちょっと泣かされてしまったことを告白しよう

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

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