学校の怪談4 ★★★

学校の怪談4 [東宝DVD名作セレクション]
学校の怪談
1999 スコープサイズ 99分
DVD
脚本■奥寺佐渡
撮影■柴崎幸三 美術■中澤克巳 
照明■上田なりゆき 音楽■宇崎竜童
視覚効果統括■橋本満明
監督■平山秀幸

■何年ぶりの再見だろう。封切り当時に劇場で見て以来のはずだ。改めて見ると、特撮は非常に丁寧な仕事ぶりだ。津波のシーンや一見合成と気づかない場面に至るまで、おそらくデジタル合成がメインだと思うが、非常に誠実な作り。特撮班を分けない平山組の視覚効果クルーの腕が存分に発揮されている。いや、デジタルと光学合成が半々くらいかな?

■お話は単純なジェントル幽霊物語だが、9歳の主演女優と笑福亭松之助の共演がなんとも滋味豊かなニュアンスを生み出してしまっているので、見ていて飽きない。平山秀幸も基本的に押しつけがましい演出は好まない人なので淡々と撮っていてルックは地味なのだが、森一生のように自然と体臭が染み出すような塩梅で平山ワールドともいうべき長閑なリズム感を刻んでいる。このシリーズ中では最も怖い作風ということになっているが、Jホラーとは一線を画すのが平山秀幸の怪奇世界であって、純粋に怖さを追求した映画ではないが、まさに民話的な素朴感こそが珍重に値する。

笑福亭松之助の子供を子供とも思わないぶっきらぼうな話しぶりとか地に足のついていない歩き方も、この世の人でない存在感を禍々しくではなく、愛嬌として表出していて、配役にこだわった平山秀幸の面目躍如といったところ。ラストで沈んだ校舎で幽霊たちと再会する場面は、ありふれた趣向なのに、なぜかしっかりと笑福亭松之助に感情移入してしまって感傷的になってしまう。子供たちをおおらかに見守るのが原田美枝子というのも『愛を乞う人』繋がりの豪華な配役で、しかしその存在感は絶大で嫌味がない。

■ハイビジョンリマスターでのんびり再見したいなあ。

追記

劇場封切り時に観た感想は以下の通りですよ。ちゃんと映画館で観てますよ。でもかなり辛口だなあ。ちょっと辛すぎる気がする。
maricozy.hatenablog.jp

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