魔界転生

魔界転生 [DVD]

魔界転生 [DVD]

2003/VV
(2003/4/26 MOVIX京都・SC5)

原作/山田風太郎 脚本/奥寺佐渡
撮影/柳島克己 照明/杉本 崇
美術/松宮敏之 音楽/安川午朗
操演・特殊効果/岸浦秀一 特殊造形コーディネーター/原口智生
特撮監督/佛田 洋 視覚効果統括/橋本満明
監督/平山秀幸

 島原の乱で徳川勢によって非業の死を遂げた天草四郎窪塚洋介)は神を捨てて転生し、若い娘たちの肉体を使って名だたる剣豪たちを魔界衆に仕立てあげる。三代将軍家光の叔父でありながら紀州に封じられた頼宣(杉本哲太)の野心に火をつけ、江戸へ攻め上らせ、徳川同士に骨肉相食む戦いを演じることで、再び乱世を現出させようと企むが、その狙いを見抜いた柳生十兵衛佐藤浩市)は一党を追って、江戸に向かう。
 「魔界転生」の、あの深作欣二に次ぐ二度目の映画化だが、正直に言って失敗作。前作も決して成功した映画ではなかったが、今回も平山秀幸にしては珍しく、水準以下の出来栄えだ。滝田洋二郎は「陰陽師」において堂々たるアクション時代劇を創出してみせたが、平山秀幸がこれに及ばなかったとは、実に意外だ。野村万斎と窪塚洋介では、はなっから勝負になりっこないということか。
 天草四郎窪塚洋介が演じ、ホリヒロシによる奇抜な衣装を身にまとうことの救いがたい不恰好さは割り引くにしても、肝心の見せ場であるチャンバラの演出にことごとく失敗しているのは、一体どうしたことだろう?長塚京三宮本武蔵など配役自体が噴飯ものだが、剣戟の見せ方がテレビ時代劇と大差ない程度の、独創性の著しく欠如したものばかりで、まったくアクションスタッフの気合が感じられないのはどうしたことか?おそらく、アクション監督がJAC(今はJAEか?)のスタッフではなく、東映剣会の所属であることも関係していると思われるが、アクロバティックでもなく、かといって正攻法の剣術でもないという特徴の無い振り付けで、精彩の無いこと夥しい。佐藤浩市はちっとも強そうに見えないし、実際特にアクションが得意というわけでもなく、これが真田広之だったらと誰もがあらぬ夢想に走ってしまうだろう。
 太平の徳川治世の転覆を図る天草四郎の計略や、その悪魔の囁きによって眠っていた武士の野心を揺り動かされる頼宣、そして魔界転生の最後の仕上げのあの人物の登場など、脚本の筋目としては悪くないのだが、上記のアクション演出の不出来さとともに、美術や照明の質感についても、せっかく旧大映系のスタッフが東映京都の表現レベルを向上させていたのに、かなり旧に復した印象で、洞窟の場面の岩肌の安っぽい質感など西岡善信なら決して許しはしないだろう。
 特に酷いのは大詰めの江戸城の杜撰な描き方で、前作を見なおすと美術装置の規模及び質感や炎上する炎の量感に圧倒される場面なのだが、今回は呆れるほどに平面的で、江戸城という舞台設定のスケール感が全く生かされていない。江戸城が逆十字に裂けるミニチュアワークは美術に大澤哲三も参加して特撮研究所謹製の力作だが、せっかっくデジタル合成が利用できるのだからもっと細かく人間と絡ませないと生きないぞ。
 ついでに言えば、魔界衆の滅びる場面に「ブレイド2」に似たCGエフェクトが再現されているのだが、頼むからもっと物理的エフェクトを活用してほしいものだ。仮にも人間の最期を描く表現方法としてはいかにもデジタルな表現手法は安易すぎる気がするのだ。これは映像表現における倫理の問題なのだが。
 ただ、冒頭の島原の乱のモッブシーンは敢えて「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」に挑んだ意欲を賞賛しておこう。デジタル合成のおかげで立派にスペクタクルな見せ場となっている。でも、モッブシーンの役者の動きは、向こう様のCGIキャラクターの方が立派に見えるのは困ったもので・・・

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