感想(旧ブログより転載)
「愛を乞うひと」の平山秀幸の待望の新作だが、結局このシリーズならではの不毛さを確認しただけに終わった。
「学校の怪談」シリーズは金子修介監督作品も含めて全く感心した作品がないのだが、今回も全く同じ感想しかないのだった。
一番問題のなのは奥寺佐渡子の脚本だと思うのだが、誰も気づいていないのだろうか?夏休みの学校でかくれんぼをしている最中に大津波に呑まれてしまった子供達が現代の子供達を連れ去ろうとする。果たして何のために?という物語だがネタはバレバレで、作劇に工夫がなさ過ぎる。
一部で話題のスーパー35方式によるシネスコ画面も十分に生かされたとは思えず、例えば大映京都の時代劇がシネスコ画面を様式的に使い切ったことと比較すれば、実力派の柴崎幸三をもってしてもシネスコである意味が十分に消化されていないようだ。
ただ中澤克巳の美術はいつものことながら見事で、スケールは小さいがクライマックスの舞台となる海底に没した校舎の質感などさすがといわざるをえない。
橋本満明が統括した視覚効果も今までと比べると地味で、大津波のシーンなどはデジタル合成ではなくもっと本式のミニチュアワークを見せて欲しいという不満も残るのだが、人面蟹や歩き回る人形のモデルアニメは短いシーンながら実に丁寧な作業で、やはり良心的なのだった。
平山秀幸の作品としてはどう観たって「ザ・中学教師」や「愛を乞うひと」などのほうが上出来なわけで、この「学校の怪談」シリーズの功績は「愛を乞うひと」を副産物として生み出したことと、「ゴジラ2000」にシネスコサイズを採用させる導因となったことに尽きるのではないだろうか。
追記
以下に最近改めて観た時の感想をアップしてます。随分、初見の時と印象が違いますねえ。われながら面白い現象だなあ。ノスタルジーってやつだろうか。
maricozy.hatenablog.jp