おんな極悪帖 ★★★

おんな極悪帖 [DVD]

おんな極悪帖 [DVD]

おんな極悪帖
1971 スコープサイズ 84分
DVD
原作■谷崎潤一郎 脚本■星川清司
撮影■梶谷俊男 照明■古谷賢次
美術■西岡善信 音楽■渡辺岳夫
監督■池広一夫

谷崎潤一郎の趣味性全開の戯曲の映画化だが、大映末期の小規模作。しかも当時のエログロ時代劇「おんな」シリーズの番外編といった雰囲気を醸し出しながら、エログロ要素は少なく、正直中途半端な映画である。
■それでも創造社組のユニット出演でキャストは豪華だし、敵役である太守は岸田森が怪演するという、一種の珍品として味わい深い映画ではある。岸田森の演技は当時のステロタイプの狂人演技で、常に高笑いを発しながら人をいたぶるサディストを演じているが、あまり褒められたものではない。翌年には『血を吸う眼』で吸血鬼役を完璧に演じきったあの感受性はここでは感じられない。ただ、田村正和に何度斬られても死なないしぶとさに、とにかくやる気だけは感じられる。京都の撮影所で舐められないように頑張った岸田森の健気さが涙ぐましい。
■一方で主演の安田道代が意外にもコケティッシュで可愛い。ヨタカから成り上がって見せようとする野心家の手段を選ばぬ残酷さの裏にチャーミングさが見え隠れするのが微笑ましい。稀代の悪女の過去に受けた差別の有様が随所に差し込まれるのも、効果としては悪くない。花火の宵に佐藤慶と成り上がる野心を語り合う場面など、ちょっと良い。
池広一夫の映画としてはあまり出来の良いものではないのだが、配役の楽しさで、ほのぼのと楽しいのは確か。芦屋小雁はなかなかの好演ですよ。